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【就活のリアル転載】日ごろのあいさつ一流のマナー印象上げる 上田晶美(2017/11/20付 日本経済新聞 夕刊)(2017/11/27)


 各大学の学園祭が終わり、いよいよ次の学年の就活準備が始まろうとしている。

 先日、ある東京近郊の大学に就活の講義に行ったところ、とても気持ちの良い光景を目にした。

 その大学は駅から少し離れたところにキャンパスがあるので、スクールバスが運行している。10分置きに走っており、サービスの行き届いた大学だ。私も便乗させてもらった。感心したのは、そのバスに乗る時、降りる時に学生が運転手さんにあいさつをしていくことだった。

 女子大ならば割とあることなのだが、その大学は男子が多く、運動部が強いことで有名になりつつあるところ。しかも乗降口はバスの真ん中あたりにあり、運転席からは遠いのに、しっかりとした大きな声で「ありがとうございました」と言って会釈して降りていくのだ。

 体育会特有の「おっす」というような短いあいさつでなく、きちんと語尾まで聞こえるあいさつである。伸びている大学だなあ、という感じが伝わってくる光景だった。

 そんなバスの乗り降りのあいさつが就活にどんな効果をもたらすのか。

 私も乗ったように、求人に来る企業の担当者が乗り合わせることがある。あの光景を見れば大学の印象はぐっと良くなり、「1人くらい採用したい」と思っていたところが「2、3人くらい採用しよう」となるかもしれない。

 学生がよくあいさつをする大学というのは、職員のあいさつも素晴らしいものだ。今回訪れたその大学の職員のマナーももちろん良く、「就職率を上げたい」という熱意を感じた。

 他の大学だが、入り口のドアから「失礼します」と言って入ると「いらっしゃいませ」と言って全員が立ち上がって迎えてくれるキャリアセンターもある。

 講師としては、その職員の人々以上のあいさつをしなくては、と毎回気合が入る。このキャリアセンターの人々の行動は、外部の講師への礼儀に加え、その姿を学生に見せているのだと思う。

 学生が一番身近で見る社会人は大学の職員だ。職員が「あいさつしなさい」と口で言うだけでなく、自ら一流のマナーの見本を示す。それを意識している大学かどうかで大きな違いが出ると感じる。

 たかがあいさつ、されどあいさつ。第一印象が大事な就活では、日ごろのあいさつの姿がそこに出る。大学が一丸となって学生を大事に教育した先に、良い就職率があるのだと感じた。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

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