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【就活のリアル転載】離職率のワナ 数字上げる「ブラック大手」 海老原嗣生(2017/12/11付 日本経済新聞 夕刊)(2017/12/18)


 大卒者よりも高卒者や中卒者が、統計を取り出した1970年代から一貫して、はるかに新卒入社者の3年内離職率が高い。その理由は、ひとえに「学校が生徒の進路を決めてしまう」ことにある。

 確かに、面倒見のよいシステムではある。だが、長らく「原則として1人1企業推薦」という絞られた選択肢のなかで、若者は就職先を決めねばならなかった。

 しかも、過去は「お試し勤務」「インターンシップ」「職場見学」さえもほとんどされていない状態だった。これでは、辞めるのも致し方ないだろう。

 中高生は未成年だから自分では決められないだろう、という大人目線。何とか職にあぶれず食いぶちを確保できるように、という親心。地域や国家の発展に帰すべきだ、という社会意識。そんなところから、これまでずいぶん若者に対してむちゃをしてきた。

 欧州の職業決定システムも、成績中位者以下は、半ば強制的に職業が決められるようなものなので、それがよしとは言えないが、日本の仕組みも、決して誇れたものではなかろう。

 ようやく最近、ここにも変化の兆しが見え、職場見学の実施や多企業推薦が浸透しつつある。今後数年で、中高の新卒入社者の離職率は下がるのではないか。

 一方、大卒の方はどうか。厚生労働省が毎年発表している大卒新卒入社者の3年離職率を見てみよう。

 まず、従業員数5~30人未満の企業で3年離職率は、おおむねどの年でも5割程度。30~99人の企業でも例年4割ほどになる。

 業種別で見ると、宿泊業と塾関連、娯楽業が5割程度と高く、不動産・医療・小売業などで4割近い。

 一方、従業員数が1000人を超える大手企業は、3年離職率が2割程度と下がる。

 こんなデータを見たら、就活生もその親も「業種はともあれ、まずは大手に入りさえすればいい」という気持ちになってしまうだろう。それが、学生たちの大手志向をより強くする。

 だが、実はそこに落とし穴がある。

 就職四季報に掲載されるようなエクセレント大手企業の3年離職率はほとんどが10%以下だ。だとすると、なぜ、大手平均で見たそれが2割にもなるのか。

 その理由は「図体ばかりは大きいけれど、ブラック環境のため離職率が高い」企業が、数字をかさ上げするからだ。そして、往々にして学生たちは、こうしたブラック大手にはまってしまうのだ。

(雇用ジャーナリスト)


     

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