知っておきたい就活情報

【就活のリアル転載】大学3年生、選択の年ミステリーツアーにご用心 上田晶美(2018/1/9付 日本経済新聞 夕刊)(2018/01/16)


 大学3年生にとって、いよいよ「就活新年」の幕開けだ。好況な中にも、昨年よりはやや厳しめの就活戦線になりそうな模様である。心してスタートしてほしい。

 スタートにあたって、私からのメッセージは「その飛行機に乗って大丈夫ですか?」ということだ。

 内定という目的地に向かう就活という名の飛行機。一度乗ってしまうと、なかなか降りられない。遠くまで行くので、途中で引き返す時間の余裕もないかもしれない。

 もしも間違った飛行機に乗ってしまったら、自分の希望とは大きくかけ離れた内定先になってしまう。なのに、飛行機の行き先を吟味することを後回しにする学生がなんと多いことか。まるで「就活ミステリーツアー」である。

 到着したところはどうも違うぞ、と思いながらも、今さら引き返せず「まあ、いいか」と甘んじて内定を承諾してしまう。そうなると、入社してからが思いやられる。「やっぱり思っていたのと違った。自分には向いていなかった」となって早期に退社となると残念だ。

 内定がゴールではなく、働くことがゴールであることを忘れているとしか言いようがない。そもそも1年以内の早期に退社してしまう人は、こういうケースが多いのではないだろうか。「間違った飛行機」に乗った人の末路かもしれない。

 乗り間違いはどこで防げるか。「今でしょ!」。このフレーズはやや古いかもしれないが、既に飛行機に乗っている人もいるので気をつけてほしい。インターンシップが搭乗口だったということもあるのだ。

 これは2年生以下の人にもよく覚えておいてほしい。インターンシップというのは職業体験だから、どの会社に行ってもいいわけだ。ところが、夏のインターンは1週間以上あり、そこで認められると「次の面接に来てください」「そこは通すので、次は部長面接です」と好条件を出されるケースが多い。

 トントン拍子に話が進んで、早めに内定が出ると「もうここでいい。会社のみなさんもよくしてくれるし」と内定を承諾する。つまり「メーカーに行きたい」と当初は思っていたが、とりあえずIT(情報技術)企業のインターンに受かって参加したら、そちらにほだされて入ることになったという例だ。

 もちろん、それが良いか悪いか一概には言えないし、結果が出るのは先のことになる。とはいえ、まずは就活のスタート時点の今、どの飛行機に乗るか、よく吟味してほしい。機内食や乗務員の笑顔につられている場合ではない。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

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