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【就活のリアル転載】面接で学生の内面を知る 2択で「あなたはどうする?」 海老原嗣生(2018/2/13付 日本経済新聞 夕刊)(2018/02/20)


 企業と学生が合うかどうかを見るために「相性の5軸」というものがあると、前回の私のコラムで書いた。

 では、その相性の5軸を面接では学生に対し、どのように使えばよいだろうか。まさか面と向かって、5軸をそのまま聞いても、相手は素直に答えてくれないだろう。

 そこで、面接にはテクニックが必要となる。今回は、学生の内面がよくわかる、新たな面接法を伝授したい。

 一般的な面接は、学生時代に一番頑張ったこと、思い出に残ること、大きな失敗、ほめられたこと、などを聞く。

 象徴的な事象を取り上げ、それを5W1Hで質問を繰り出し、応募者のキャラクターをつまびらかにする、というスタイルだ。これは俗に「行動観察型面接」と呼ばれる。

 ただこの手法は、学生によってはささいなことをきらびやかにデコレートして話すため、虚飾のそぎ落としに腕が必要となる。また、評価のしようがないエピソードを延々と話され、苦慮することもある。

 そして、全く何も準備していない学生は、「え~っと、何があったかな」と思い出せずに終わる。だからこれは、普及しているわりには、困ることも多い面接法なのだ。

 対して、新たに示唆したいのは「状況設定型面接」というものだ。

 これは、本人の特性がよく出るような場面を設定し、「こんな場合ならどうする?」と二択から選ばせる。そして、選んだ理由を事細かに聞いていく、というスタイルだ。

 たとえば「情/理」の軸を聞く場合なら、こんな質問が良いだろう。

 大切な先輩が、あすまでに300万円を貸してほしいと言ってきました。あなたならどうしますか?

 (1)期待を持たせるのは良くないから、無理と言う

 (2)何とかできないか四方手を回したあげく、思案して悩む

 (1)を答えた相手に対しては、「でも、その先輩、あなたが家を追い出されたときに、小さな布団しかない彼の部屋に1週間も泊めてくれて、その間、食事も食べさせてくれたんだよ」などと、さらに畳みかけていくのだ。

 こんな感じで聞きたい軸に従って設問を作り、また、選んだ選択肢ごとに畳みかける質問を用意する。

 これだと、事前準備はできないから虚飾もないし、何も考えていない学生も答えられる。しかも、聞くべきポイントを事前に設定できる。さらに、学生も楽しんで答えてくれる。けっこういいことずくめなのが、状況設定型面接なのだ。

(雇用ジャーナリスト)


     

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