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【就活のリアル転載】仏でも厳しい学歴差別エリート校の内部にも階級 海老原嗣生(2018/4/24付 日本経済新聞 夕刊)(2018/05/01)


 欧州とりわけ大陸国では、採用時に学歴差別がない、などという神話が日本で語られることがあるが、それは大きな間違いだ。

 確かに欧州の場合、大学の入学試験をなくしている国もある。そこからそんな誤解が生まれるのだが、社会はそんなに甘いものではない。

 まず、欧州の場合、高校修了資格を得るための考査が非常に厳しい。しかもこれにランクがつけられる。そのランクを入試の代わりにする国が多い。そこで序列ができる。

 こうしたランクでの選抜に加えて、フランスなどでは、人気が高い大学は、面接や筆記試験を普通に行ってもいる。

 さらに言えば、フランスの場合、グランゼコールというエリート養成機関があり、本当に良い仕事に就こうと考えるなら、大学ではなくてこちらに行かねばならない。

 そのためには、高校時代を成績上位で通し、グランゼコールに入るための予備級に進む必要がある。

 ここでは一日の大半を勉強することが要求される。グランゼコール卒業生たちに聞くと、「人生で一番苦しかったのは予備級のころ」とほぼ皆が答えるくらいだ。

 ただ、中央官僚やグローバル大手企業で上席を狙うなら、200校近くあるグランゼコールの中でも、文系理系各上位5校に入っていなければならないという。学歴社会極まれり、だろう。

 しかも、だ。上位グランゼコールに入ればあとは安泰、というわけでもない。

 昨今は、グランゼコールには、社会人スクールが併設されており、また、一般大学からの途中編入などもある。

 有名企業ともなると、そうした社会人学生や編入者ではなく、「予備級からの進学者」が欲しくてたまらない。そこで、彼らをうまく見分けるための網を張っている。それが「学内派閥」だ。

 学内には予備級からの進学者のみ入れる“党派”のようなものがあるのだ。だから、この党派に入っていれば、社会人学生や編入生ではないことの証明となる。

 ただこの学内派閥がまた、彼らにとっては試練の場になる。派閥内は一糸乱れぬ鉄の結束を誇り、上級生には絶対服従なのだという。

 取材で聞いた、上級生への服従ぶりはこんな具合だった。

 公衆の面前で芸をさせられる。繁華街で異性を口説かされる。バカ騒ぎして怒られたときの身代わりにされる・・・・。

 それは日本の一部体育会系サークルの過酷な例としてささやかれてきたような世界なのだ。

(雇用ジャーナリスト)


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