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【就活のリアル転載】専門高校の在り方 日本の「緩さ」逆手に内容刷新 海老原嗣生(2018/7/17付 日本経済新聞 夕刊)(2018/07/24)


 これまでもこのコラムで折に触れ紹介してきたが、欧州はかなり厳しい資格審査をして、大学に行くべき人のみを進学させている。ドイツではその資格をアビトゥーアといい、試験は州により異なるが6~12科目もあり、時間は20時間もかかる。フランスではそれをバカロレアというが、内容はドイツとほぼ同じだ。

 一方、日本はどうだろう。高校は審査なく卒業でき、大学受験はもはや推薦入試や書類・面接によるアドミッション・オフィス(AO)入試の経由者が半数に迫る。一般入試でも私立文系の場合、上位校でも1~3科目で受験が可能だ。本当に、どこからどのようにでも入れてしまうのが日本の大学なのだ。

 私は欧州を「早く結論を出す」教育、日本を「なかなか結論を出さない」教育と呼んでいる。根本から思想が異なる欧州型に憧れるのはもうやめて、これからは、とことん日本型を突き詰めたコース設計をしていくのはどうだろう。

 その題材として、専門高校の在り方を考えてみたい。

 日本の専門高校は本当に歴史的遺物と化した感がある。衰退が指摘されている農・林・水産・製造業系の高校がいまだに約千校もあるのに、IT(情報技術)系はたった30校程度にとどまる。高齢化でニーズが高まる看護・福祉系は200校に満たないのに、家政系は300校近くもある。

 こんなアナクロ状態を統合再編して理想形にしていく。キーとなるのは総合高校だ。これは、存続が危ぶまれる専門高校や普通高校が合併されてつくられるケースが多い。商・工・普通を合わせたものが総合高校だが、まさに「何でも勉強できる」状態となる。それも内容を今風にがらりと刷新して。

 たとえば、商系で通訳・会計・PCを、工系でプログラミング、ウェブ、CAD(コンピューターによる設計)を学び、あとは普通系で英・国・世界史を学べるようにする。社会に出てそれこそ即戦力となる今流の技能を余すところなく身に付け、英国社たった3科目で私立トップ大学を狙える。これこそ日本の「緩さ」を逆手に取った究極のカリキュラムだろう。

 これは東京都立新宿山吹高校をモデルとした。総合高校でパレット制(単位制)を敷くため、自由な科目取得が可能。さらに昼夜開講制のため、午前8時40分~午後9時10分の間で気の向くままに受講ができる。こんな至れり尽くせりな環境を提供している。結果、早慶の合格者を毎年多数、輩出し東大入学者がいる年もある。こんな高校が昨今は並の普通高よりも人気となっている。日本型教育の一つの理想だろう。

(雇用ジャーナリスト)


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