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【就活のリアル転載】AIが代替「スマートな仕事」 資格取っても…進む無人化  海老原嗣生(2018/10/2付 日本経済新聞 夕刊)(2018/10/09)


 ここ数回、人工知能(AI)時代の職業教育について触れている。そもそも、どんな仕事がAIに置き換わるのだろうか。

 製造・流通サービス・建設といった物理的作業がともなう業務は案外、機械代替されない。営業や庶務、秘書など対人折衝が核となる業務も代替は難しい。

 一方で、スマートで高給といわれる士業系の仕事は「作業」レベルにおいてはAIに代替されやすい。そんなスマートな仕事は「作業」レベルではほぼパソコン内で完結するからだ。15年程度でAIはそこまで進化浸透するだろう。

 その時、私たちのキャリアのとらえ方は、どのようになっているか。

 たとえば今、営業や庶務などをしていて、対人折衝に心を悩ます毎日に疲れる人は多い。そんな時、簿記や給与計算などの勉強をして資格をとり、それを生かした一つ格上の仕事を夢見たりするだろう。はたまた、クーラーの利いた社屋でパソコンとにらめっこしているリサーチャーをうらやましいと思ったりもする。ところが、そうした仕事こそ、機械代替されて大幅に仕事がなくなっていく。

 社会のいたるところで、「スマートな仕事」がなくなり、「現場実務が残る」というパラドックスが起きる。

 自動車運転関連の業務を考えてみよう。この業務は物理的行為が多々あるように見えるが、それは間違いだ。シフトノブ、ペダル、ハンドルなどは、人間の手足というインターフェースに合わせるために作られているだけであり、AIならばパソコン基板一つですべてをコントロールできる。だから、案外簡単に自動化・機械化が実現する。15年後にはかなりの部分で無人化が進むだろう。

 ただ、そのときにも宅配便の小口配送員は残る。配送という仕事は物理的作業が多くを占めるからだ。一方、運転関連業務で最難関である超大型免許を取得し、長距離運送をする仕事はどうだろう。こちらはヤードで荷物を積載され、あとは高速道路を走る。配送はもちろんないし、高速なら交通ルールも簡単で歩行者もいないから自動化はしやすい。ということで、この仕事の方がなくなる確率は高い。

 どうだろう。ビジネスパーソンの世界でもブルーカラー系の仕事であっても、格上とみられた仕事がなくなり、現場の実務が残る。

 学校でもビジネス誌でも、「今のままじゃだめだ、資格をとって一格上の仕事を」とよく言われる。ところが将来はそうした仕事こそAIで機械化される。このパラドックスを乗り切るために、私たちはどんなキャリア形成をしていけばよいのか。次回以降考えることにしよう。

(雇用ジャーナリスト)


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