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【社会に出る学生のための人権入門】(第1回)人権とは?、自己人生コントロール権 ~教育の重要性~(2017/09/06)


 人権とは?、と学生から質問されて、私はときに「自己人生コントロール権」だと応える。自身の人生を自身でコントロールすることができる権利だと説明する。そのためには多くの権利が保障されていなくてはならない。その中でも教育権は特に重要である。十分な教育を受けていなければ自身の人生を切り開くこともできない。

 かつてオバマ米国大統領(当時)は、2009年2月24日に行った初の施政方針演説で教育政策に関連して「知識が最も価値ある売り物になるという世界経済において、良い教育は、もはやチャンスをつかむための道筋ではなく、必須条件です」と述べており、教育の重要性を明確に説いている。また同演説で「これは景気後退を克服するための処方箋です。現在、教育で私たちを凌ぐ国は、将来、競争力で私たちを凌ぐことになるでしょう。だからこそ、この政権は、すべての子どもたちが生まれてから働き始める日まで、競争力を養える、申し分のない教育を受けられるようにすることを目標としているのです」と語っている。

 この演説内容は、教育と就職が密接につながっていることを端的に述べている。さらに教育は差別問題とも強固に結びついている。過去、現在、未来の差別を結びつけている主要な要因は教育にあるといえる。差別意識や偏見を取り除くのに主要な役割を果たすのも教育である。過去の差別状態を現在に移転させているのも教育であり、現在の差別状態を未来に移転させていくのも教育である。差別の世代間移転が教育を結節点にして起こっているのである。

 本来、教育は差別の世代間移転を抑制し是正するものであり、その役割を担うものでなければならなかった。にもかかわらず、差別を固定化する役割を格差拡大社会の中で担わされている。

 世界で最も個人負担分の学費が重いのは、日本、韓国、アメリカ合衆国である。別な視点でいえば公教育に対する行財政負担が最も少ないということである。これは個人の財力によって受けることのできる教育が大きく変わるということでもある。それは経済格差がそのまま教育格差につながることを意味している。次回はアメリカ合衆国を事例に経済格差と教育格差を紹介していきたい。

北口 末広(近畿大学人権問題研究所 主任教授)


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