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【社会に出る学生のための人権入門】(第6回)人権とは? 就職と法及び国際条約(2018/02/08)


 来年2019年はILO(国際労働機関)が1919年に創設されて100周年を迎える年である。そのILOは労働に関わる多くの国際条約を発効させてきた。その中でもILO111号条約(就職差別撤廃条約)は雇用と職業に関する差別待遇をなくすためにできた条約で、就職活動とも密接に関わっている。しかし本条約は未だ日本政府によって批准されていない。早急な批准が期待されているところである。批准によって雇用差別撤廃や職業に関する差別待遇の撤廃に積極的な影響を与えるといえる。

 その他の国際人権諸条約も、日本の人権や就職に密接に関連している。また条約以外でも1995年にスタートした「人権教育のための国連10年」行動計画は世界の人権教育の前進のために大きな役割を担った。こうした国際的な活動は日本国内の法制度をはじめとする社会システムに少なからず影響を与え、私たちの日々の生活に少なからず影響を与えている。多くの人々が知っている男女雇用機会均等法も女性差別撤廃条約を日本が批准することが大きな契機となった。均等法は改正が繰り返されて、雇用と職業に関する女性差別撤廃やセクシャル・ハラスメントをなくすために大きな効果を発揮してきた。

 一方、日本国内の取り組みも就職差別撤廃に大きな影響を与えた。その一つが職業安定法の改正である。1998に発覚した就職差別身元調査事件への取り組みは、就職差別撤廃だけではなく個人情報保護の取り組みも大きく前進させた。1999年6月に制定された改正職業安定法は、第五条の四に労働者の個人情報保護の規定を設け、同条に基づく指針も整備され、事実上採用差別をできないようにした。指針は「人種・民族・社会的身分・門地・本籍・出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項、思想及び信条、労働組合への加入状況を収集してはならない」と規定し、あらゆる社会的差別につながる事項の収集を禁止することを通じて、採用差別禁止を法的に明確にした。

 また、指針は「個人情報を収集する際には、本人から直接収集し、又は本人同意の下で本人以外の者から収集する等適法かつ公正な手段によらなければならないものとすること」を定め、採用時における自己情報コントロール権の確立につながった。こうした法整備は、全ての採用差別をなくすことにつながり、就職活動に取り組むすべての人の個人情報保護の確立に貢献した。

北口 末広(近畿大学人権問題研究所 主任教授)


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