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【社会に出る学生のための人権入門】(第14回)人権とは? 各種ハラスメントを理解しよう ~パワハラの具体的な判断基準~(2018/10/11)


 パワハラの具体的な判断基準では、次のような視点が重要だといえる。

 まず①どのような行為が行われたかということである。違法性の有無、行為の内容、程度を5W1H(内容・関係・時間・場所・目的・態様)に当てはめて厳密に判断していく必要がある。

 さらに②行為が繰り返されているかどうか。一回だけか繰り返しか。行為がエスカレートしているか。③加害者の心理状態や性格はどうか。性格的に問題があるのかどうか。④被害者の認識やダメージはどの程度か。メンタルヘルスが悪化していないか。⑤加害者・被害者の力関係や状況はどうか。パワハラの同調者はいるか。被害者は孤立しているかなどで判断すべきである。

 表面上は指導育成や業務上の命令という形態を取っているため、パワハラが行われていても表面化しにくく、パワハラを受けている部下の精神的苦痛がピークに達するまで問題が明らかにならないことが多い。表に現れたときには問題がかなり悪化しているケースも目立つ。近年は大企業を中心にパワハラ防止の取り組みも進んできており、早期の相談・通報も増加している。

 目的が指導育成ではなく部下に精神的苦痛を与えることになれば、人材育成にとってもマイナスになる。パワハラを行っている側は主観的には指導育成のつもりでも、客観的には明確にパワハラであるということも珍しくない。ある面では、指導育成といじめ・パワハラは紙一重であり、両者の関係性も判断基準の重要な要素になる。

 こうしたパワハラの手段として最も多いのは言葉である。言葉によるパワハラの場合、差別的な言葉が使われることも多く、表現と人権はパワハラをなくすためにも重要な視点だ。言葉は最も重要なコミュニケーションの手段でもある。

 教育界で語られる言葉に「木は光を浴びて育つというが、人は『言葉』を浴びて育つ」というフレーズがある。

 読者の皆さんは周りの人たちに日々どのような言葉をかけているでしょうか。自身では気づかないうちにやる気を削いだり、差別的な言葉をかけていないか。今一度、自身のコミュニケーションのあり方や言葉を客観的に見つめていただく契機にしていただければ幸いである。

北口 末広(近畿大学人権問題研究所 主任教授)


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