2011年8月17日
情報化と多様化、グローバル化が進展する現代社会にあって、企業活動が、経済のみならず人々の生活や意識、行動に深くかかわるようになっています。このような中で、ISO26000にもあるように企業の社会的責任(CSR)として人権に取り組むこと(人権CSR)が基本事項になってきており、企業経営・活動や業務運営の中で人権尊重の視点を確立していく必要があります。
また、そのためには企業において人権尊重の視点を持った「人材」がなによりも重要になってきております。このため企業としては、社員(従業員)の採用選考からその後の研修や教育までの人材養成の中で、人権尊重の視点に立った取組みが一段と重要になってきています。
一方、非正規労働者の増加といった、雇用形態の変化や既卒者の通年採用など企業の採用選考も大きく変わり、多様化してきている状況にあります。
企業が人権問題に取り組むようになった大きな契機は、1975年に明らかになった「部落地名総鑑差別事件」であります。これを受けて、公正な採用選考と社内での人権研修を推進するため、1977年から従業員100人以上の事業所に「企業内同和問題研修推進員」の設置が求められました。
そして、大阪府では1987年から従業員25人以上の事業所を設置対象とし、1997年には「公正採用選考人権啓発推進員(以下、「推進員」)」と名称変更されました。そして2003年度からは、大阪府の主催で新任・基礎研修が行われています。また、人権問題に取り組む企業の団体も結成され、活動を続けています。
しかし、「大阪府公正採用・雇用促進会議」に報告される、企業等における採用選考に係る差別事件や不適切な事象は後を絶たず、いまだ基本的人権である就職の機会均等が保障された状況には至っていません。
また、昨今明らかになった「土地差別調査事件」では、推進員の設置対象事業所であるにもかかわらず、その機能が十分に発揮されておらず、結果として土地調査に係る重大な差別を見過ごしきたという問題とともに、自社のみならず、関連会社等での人権啓発の課題も明らかになったのです。
このようなことから、企業等自らが公正な採用選考の確保及び社内人権研修の推進に向けて積極的に取組むことが必要であります。このため企業が相より、人権に関係する団体の協力のもと、人権CSRの取組みとして、公正採用選考システムの確立および社内人権研修等の推進に関しての基準を定め、その実現に向けたさまざまな支援を行うために「一般社団法人公正採用人権啓発推進センター」を設立します。
一般社団法人公正採用人権啓発推進センター 発起人会
※設立時のパンフレットより