知っておきたい就活情報

【就活のリアル転載】大学選びでも「出口」重視 進路相談の現場、よく見て 上田晶美(2018/8/21付 日本経済新聞 夕刊)(2018/08/28)


 「〇〇大学は部活動の不祥事があったので就活で不利になりそうだけれど、受験しても大丈夫ですか?」。ある高校生の親御さんから質問を受けた。

 それは心配いらないと答えたが、大学受験の際、出口の就職を考えて大学、学部を選ぼうという姿勢は大事だと思う。私は就活の専門家として、大学選びについても質問を受ける。この夏休みの時期はオープンキャンパスと言われる高校生への大学の説明会が開かれ、かり出されることもしばしばだ。

 暑い中せっかく参加するオープンキャンパスなのだから、評判だけでなく、しっかりと自分の目で耳で、大学の特色、就職指導について見てきてほしい。

 全体の講演会では、おおむね良い話しか出ない。高い就職率、充実した対策講座の数々。確かに、各大学とも就活対策のメニューは充実してきており、その差はわかりづらい。

 お勧めしたいのは、講演会だけでなく、実際にキャリアセンターを訪問し、見てくることだ。その際のポイントが3つある。

 1つはインターンシップについて、学生の参加率やキャリアセンターの関わり方だ。今、就職はインターンシップから始まるとも言われている。学生の参加率は就職活動への熱意を測る物差しの一つとして、キャリアセンターの力の入れ方を知りたいところだ。

 2つ目は最近の各校のトレンドである先輩アドバイザーの有無と活動実績について。先輩が後輩の面倒を見る校風なのかどうかを見ておきたい。学生は年の近い先輩のアドバイスを何より参考にしたがるし、素直に耳に入るようだ。

 サークル活動の加入率が低い今、相談できる先輩が身近におらず、先輩の就活を知る機会は少なくなっている。先輩アドバイザーの存在は貴重で、キャリアセンターで学生同士の縦の関係づくりができれば助かる。

 3つ目は「個人相談」ブースの数。例えば大規模校で1学年5千人いるのに相談ブースが5つでは、よほど困らない限り、個人相談は受けられないと思った方がいい。ところが小規模校では「学生全員面談」を行う大学もあるくらいだ。個人相談は何人くらいが受けているか、その割合で面倒見がいいかどうかはわかる。

 大規模校では学生の自主性の育成を強調し、小規模校では面倒見の良さをアピールする傾向がある。それは学生1人あたりの職員数や施設の面積から見て当然のことだ。自分には、または我が子にはどちらが合っているのかどうかで大学の選択を考えてみるのもよいだろう。風評に流されることなく、自分の目で耳で判断しにいこう。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

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