「育児休業が取れる会社に入りたい。それも実際にとった人がいる実績のある会社に」と言う女子学生は多い。法律では1年間、保育所に入れない場合は最長1年半まで休める。今年10月からは最長2年間に延びる予定。でも実際、職場での現状はどうなっているのかを知りたいようだ。
厚生労働省によると、在職中に出産した女性で育児休業を取った割合は、2016年度で81.8%だ(速報値)。
といっても、世の中の妊婦の8割が育児休業を取得中とは誰も思わない。妊娠がわかった時点で既に退職している人もいれば、妊娠より前、つまり結婚と同時に仕事を辞める人もいるからだ。つまりこの統計に入らない女性はまだ多いし、育児休業取得に至らなかった人の統計を取ることはむずかしい。
だからこそ、長く働きたい女子学生は、インターンシップやOB・OG訪問などで、育児休業の取得の実態を見てくることをおすすめしたい。人事に聞いたとしても、公式発表は、厚労省の統計のような答えになるだろう。
「育休取得率は100%です」という企業もたまにある。すごいと思うが、社員数が少ない、特に女性社員が少ない会社であることが多い。
また育児休業については、取得だけでなく、その後の復帰についての実態の方が大事だ。休業するのは、法整備のおかげで比較的容易になったが、復帰後の苦労が大きいことは、子育て経験がある人ならば誰にでもわかるだろう。
私は学生の就職支援だけでなく、女性の再就職支援を大学や自治体で行っている。そこには、育休は取って職場復帰したが、その後に辞めている人も参加している。
その中の一人が「復帰後1年間働いて退職しました。その1年間は保育料の方が賃金を上回ってしまい、苦労ばかり。ばからしくなって辞めました」と言っていた。
よく女子学生で「一般事務職の方が、総合職に比べてマイペースに働けるから育休を取って長く勤められると思う」という人がいる。少ない給料で続けることがばからしくならないか、少し先輩の話も聞いてみよう。
育児休業を取りやすいかは、制度だけの問題ではない。苦労をしても続けられそうな仕事であり、職場であるかどうかにかかっている。
まずは育児休業を取る年齢まで続けられる会社かどうか。そこまで働いたとしても、復帰後も頑張り続けられるのか、やりがいや賃金の方がむしろ重要であり、よく検討してほしい。
(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/