就活をはじめる新学年の親から「息子が何がやりたいかわからないと言います」という相談を受ける。
ではその親自身は自分が何がやりたいかわかっているのか、それを実現してきたのかというと、そこはあやしいものである。
もしあったとしても、あきらめている人が多いように思うし、逆にやりたいことだけで食べていける人がそんなにいるのか、とも思う。だからこそ、自分の子どもにはやりたい仕事をやらせたいという親心もあるのだろうか。
けれど、これは簡単に答えが出る問いではない。「何がやりたいか」で子どもや学生をあまり問い詰めない方がよいと思う。
では、大人も学生も何を軸に仕事を探せばいいのか。
その第1段階として、自分のモチベーションの基となるものを一度考えてみることをおすすめする。
人によってモチベーション、やる気が出る「源泉」というのは違うものだ。人と協力することに喜びを感じる人もいれば、自分で独自のことをやっていきたい人もいる。
人の役に立つことが大事だと思う人。自分の成長、人間関係が良いことを重視する人。プライベートの時間を大切にしたい人など様々だ。いくつか項目を挙げて、何が自分のモチベーションの源泉かを考えると、仕事探しが緒につくかもしれない。
ただ、学生があまり重視しない方がいいのは、「プライベートの充実」を第一に挙げることだ。
学生時代はほぼ百パーセント近くが、自分のプライベートな時間だ。ワーク・ライフ・バランスでいえば、学生はワークにあたるアルバイトをしているかもしれないが、それは全体から見ればわずかな時間でしかない。ほとんどが自分が好きな勉強や遊び、すなわちライフにあたる。
大学の勉強は、全部がやりたいことではないかもしれないが、少なくとも自分が好きな学部、科目を選択しているのだ。
その学生のままの感覚だと、働く時間が極端に増えてくる社会人になるのはかなりむずかしくなってくる。ワーク・ライフ・バランスはほどほどに考えることだ。
その他の自分の価値観に気づくと、仕事探しの的は少し絞られてくるだろう。ただし、学生は社会人に比べて過去の経験値が低いので、それがすべてとはいえない。
自分の価値観に気づくために、多岐にわたる経験を積むことが学生生活においては大切だといえる。
(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/