就活の合同説明会に行き、2人の学生の対照的な行動を見た。
早めに席に座ったAくんは、隣に人が来ても知らん顔をして、自分のスマートフォン(スマホ)を見ている。
ところが少し後から来たBくんは「ここいいですか?」とまずは隣の学生に声をかけてから着席した。すぐにあいさつしてにこやかに手短な自己紹介をし、「今どんな業界を見ているんですか?」と情報交換を始めた。
Aくんはそれに気づいたようだが、今さらまねするわけにもいかず、話しかけられるのを待っているのか、無言で下を見て、まだスマホから目を離せない。
会社の説明が始まる前の5分くらいのことだが、そこで既に学生の態度というのはこんなに違うのか、と感じた。
もちろん大笑いしたりうるさくしたりして人の迷惑になっては良くないが、同じ就活生同士、隣の学生と話し、情報交換するのは良いだろう。
また同じ会場で、社会人のこちらからにこやかにあいさつしても「知らない人とは口をききたくない」とでも言わんばかりに、目を合わせず、何となく通り過ぎていく学生が多いのにも驚いた。
何か売りつけるわけでもないのに、何がそんなに迷惑なのかわからない。「こんにちは」と言われたら「こんにちは」と返すのがマナーだろうに。
その話をある企業の人事部長にしたところ、その会社では説明会や面接の控室の様子もよく見ているそうだ。彼は20年近く人事畑だ。Bくんのように隣の人と友好的に打ち解けられる人は好ましいと言う。コミュニケーション力が高いと評価できるのだ。
経団連の調査で人事が見る学生のポイントでは、毎年不動の1位がコミュニケーション力である。そのコミュニケーション力も面接の一問一答だけでなく、「場外」と思われている控室での様子も見ているのだ。控室どころか、入り口の受付でのあいさつ、エレベーターの中での行動も気になる、という。
その人事部長は帰りの姿も見ていると言っていた。グループ面接で何人か同時に面接が終わり、廊下を歩いて帰る姿を見ていると、1人でポツンと肩を落としてトボトボ帰る学生もいれば、数名で話をしながら帰る学生もいる。
和やかな雰囲気で会話しながら、面接を振り返りつつ帰る学生たちは、コミュニケーション力が高いと評価できるそうだ。当然ながらプラスアルファになる。どこで見られているかわからない。
(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/