知っておきたい就活情報

【就活のリアル転載】ドラマチックなPR必要? 企業側に立って吟味しよう 上田晶美(2018/2/20付 日本経済新聞 夕刊)(2018/02/27)


 就活の情報解禁日、3月1日が目前にせまり、売り手市場でのんびりしていた学生たちもようやくエンジンがかかってきた。エントリーシートを書いては見せに来ている。

 その中で、ある傾向として気づくのは「ドラマチック」に書きたいのか? と思われる内容だ。

 例えば「学生時代一番頑張ったことは、留年したがそれを挽回したこと」というもの。

 確かに自分なりに精いっぱい頑張ったのかもしれないが、留年したことをはじめに言うのはどうか? と思う。

 もちろん「なぜ留年したのか」と聞かれたらそれについて答えることは必要だ。そこをどう挽回したかとプラスの方向で答えるのはいい。

 だが、それはあくまでも聞かれてからのこと。自分のマイナスポイントをはじめから声高にPRする必要はない。

 同じように「アルバイトのスーパーのレジでミスをした。上司から叱られ、ミスをなくすために、何度も練習し、ようやくミスをしなくなった」と「ミス」というネガティブワードを何度も何度も繰り返し書いてくる例がある。

 努力したのはわかるが、読んでみると「ミス」という言葉が何度も出てきて、かえって「ミス」の方が印象に残ってしまう。これでは残念ながら自分のPRにはなっていないのではないだろうか。

 自分のことを長所も短所も洗いざらい書いて、わかってもらうのがエントリーシートではない。

 読んだ会社側の担当がどう思うか、ということを少し考えて書こう。ドラマチックな作文も決して望まれているわけではない。

 確かにエントリーシートで「困難だった出来事と、それを克服した経験を書きなさい」という質問はよくある。

 その場合は「困難な出来事」を書かなくてはならないが、先に挙げた例のように自分の失敗を書くのではなく、「状況」を書く方がいい。

 例えば「部活動のコーチがいなかったが、自分たちで工夫して練習した」などだ。質問の仕方は違うが、結局、「学生時代一番力を注いだ経験」を書くことになる。

 なぜなら「困難な出来事」に遭遇するのは力を入れたからこそ。そもそも力を注いで頑張ってもいないのに、困難な出来事には遭遇しないだろう。

 エントリーシートは面接に行く前の関門であり、不合格もありうる。中には1割しか通らない会社もある。面接に進むためには、よく吟味して書くことが必要だ。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

前のページに戻る