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【就活のリアル転載】学歴で採用は決まる? 大学名絞り込みの基準に 海老原嗣生(2018/2/27付 日本経済新聞 夕刊)(2018/03/06)


 今でも企業は学歴で採用を決めているのか?

 これは就活生にとって、最も興味があることの一つだろう。正直に言おう。人気企業といわれるところは、採用選考プロセスで、少なからず学歴を見ている。

 その理由は以下の通りだ。

 まず、何万人もの応募が来る。エントリーシートを全件読むのは相当難しいし、また、全員を面接に呼ぶことも物理的に不可能だ。そのため、人数を機械的に絞る必要がある。

 その時に何を基準にするのが一番良いか?

 たとえば、先着順にする、もしくは字がきれいな人にするなど、基準になりそうな色々な要素があるだろう。

 そうした「機械的な絞り込み」をするうえでは、やはり学歴が都合がよいと思う企業が多い。その理由を書いておく。

 ある程度の難関校に入るためには以下の3つの能力・特性が必要となる。

 (1)勉強しなくても、テストで良い点が取れるほどの学習能力

 (2)学習能力はほどほどだが、こつこつ地道に努力を続けられる継続力

 (3)学習能力も継続力もほどほどだが、ツボを押さえてうまく立ち回る要領の良さ

 難関校出身者は、少なくとも(1)~(3)のどれかを持っている可能性が高い。そして、この3つの力は、企業に入ってからも、仕事をするうえで、とても重要になる。だから、学歴はそこそこ、選抜基準として意義があるのだ。

 ただし、一昔前のAOや一芸入試の黎明(れいめい)期に、学力と関係なく難関校に入った学生がかなりの数になった。

 企業は学歴選抜で残った彼らを採用し、痛い目に遭ってきた。入社後に、まともに売り上げの計算ができなかったり、支社のある県名を伝えても、日本のどこにあるかわからなかったり、という体たらくだったのだ。

 かといって、企業側は、採用選考時に、その学生がAO・一芸経由で入学したか否かを調べることは難しい。そこで編み出されたのが「高校名を聞く」という手法。各地の名門高校出身者なら、前記の(1)~(3)の力を持っている可能性が高いからだ。

 その後、文部科学省の指導もあり、最近はAOや一芸入試などでも学力を問う大学が増えた。そのため、今では「高校名を聞く」企業は少なくなっている。結果、大学名選抜に戻ったといえよう。

 ただ1980年代の大人向けマンガに出てきた、出身大学別の「派閥」のようなものは、現在の企業では少なくなっている。入社後の評価は、出身校ではなく実力がものをいうだろう。

(雇用ジャーナリスト)


     

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