「大学入学後、コースを変更したことを、就活でどう説明しようかと悩んでいます。必ず聞かれると思うので」
そう相談してきた女子学生は、獣医を目指して獣医学部に入学したが、獣医になるのは諦めて、別の業界を志望先にしたいという。
大学を選ぶ際、理系を志望する場合では、かなりの人が将来の仕事をある程度決めて専門の学問を始める。
文系が「とりあえずつぶしが利きそうな学部で、あとは偏差値次第で」などと考えているのと大きな違いである。
もちろん文系でも法学部に入学し、猛勉強して初志貫徹、司法試験を突破して法曹界に入るという人もいるが、大学に入ってから進路を決める人の方がはるかに多い。
わずか18歳で将来を決めることはなかなか難しいだろう。だが、それでも大まかな分野をある程度決めて大学入試に臨まないとならないのが、理系のシステムだ。
大学に入ってみて「思ったのと違った」ということは当然あるだろう。それも本人にとっては勉強の成果といえるかもしれない。
18歳で決めた進路から、勉強を進めてみてコースを変更したいと思ってもなんら不思議はないと思うが、冒頭の女子学生のように、本人には負い目になっている場合もあるようだ。
どんな進路にするのかは、本人の自由だ。人生はどこでコース変更してもよいではないか。もう進路を変更したのならそれに従って就活を進めるだけだ。
面接でどう答えるかを想定して、準備しておけばよい。人事の方も、特に気にかけないはずだ。
ではなぜ面接でコース変更のことを聞かれるのか。人事の心理には2つある。一つは会話の中で経歴を確認しながら、自然に聞いている場合。
もう一つは「答えづらそうな質問」をあえてしている場合。面接では聞かれたくないだろうということをあえて聞いてくる人事もいる。
意地悪にも思えるが、猫をかぶっている学生の本性を見抜くためともいえる。例えば留年した学生に「留年した理由は?」と聞いて相手の反応を見ているのだ。あまり作り込まず、素直に答えるとよいだろう。
また、理系文系問わず「教員免許は取得するが、教員にはならない」という人は多い。「教員免許を取得したことは履歴書には書かない方がいいですか?」という質問をよく受ける。
新卒であれば、勉強の成果なので書いてもいいと思う。人生には、無駄な勉強は何一つないのだから。
(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/