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【就活のリアル転載】「なぜうち」への答え方 「人」「社風」より本音で勝負 上田晶美(2018/6/12付 日本経済新聞 夕刊)(2018/06/19)


 6月1日に面接が解禁されて、大手企業の面接が山場に入ってきた。内々定まではあと少し。ここが胸突き八丁といえる。

 今、学生たちは「なぜうちの会社に来たいのか」という質問攻撃に悩まされている。個人面接では、とどめの質問として、そこを聞かれる。志望動機は通りいっぺんのものでお茶を濁したとしても、「なぜうちの会社に入りたいのか」と聞かれたら、「なんとなく」では済まないし、「有名企業だから」とか「給料が高いから」とも言えない。

 企業研究をして、会社の特徴をつかんだ話をしたいものだ。例えば同じ商社であっても、「御社はエネルギー分野に強い」「食品分野に定評がある」など事業の本質を理解して厚みのある話ができるようにしておきたい。それを自分の得意なことにつなげて言う。会社の強みにプラスして自分の強みを言うことで、入りたい理由の説得力が増す。

 だが、他企業との差異がそれほどない場合、多くの学生は「人」にまつわる話をする。「OB訪問で会った〇〇さんのお話に感銘を受け、御社で働きたいと思った」などだ。自分だけしか話せない、オリジナリティーのある「なぜうち」になる。そんなエピソードを拾えるのも、OB・OG訪問のメリットの一つだ。

 次によくある理由が「社風」について。「会社説明会で、若いうちから仕事を任せてもらえる社風だと聞いたから」というもの。この社風というのは学生が使いたがる言葉だが、突っ込まれる危険性もある。「御社の社風は」と評論家のように言われると、「学生に何がわかるのか。安易に言うな」と内心むっとする人もいるやに聞く。

 社風ってなんだろう。人に例えれば人柄のようなものか。「良くも悪くものんびりとした社風ですね」とか、「風通しがいい」などと、よく言う。風通しがいいとは意見が言いやすいということ。「アットホームな社風」というのもよく聞くが、文字通り、家族的な雰囲気なのか。そんな家にいるようなぬるま湯の大企業が現実に存在するとは思えないが、学生には耳あたりの良い言葉に違いない。

 そもそもなぜ企業は個人面接になると「なぜうち」を聞いてくるのか。それは内定を出しても辞退されるのは困るから、念を押しているのだ。本気度を知りたいのだ。学生の皆さんは、どれだけ一途に入社したがっているかを試されている質問だと思って本音でぶつかるように。「人」や「社風」といった半分こじつけのような理由でなく「御社の一員となって〇〇がやりたいからです」と自分のビジョンをズバッと言うことをおすすめしたい。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

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