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【就活のリアル転載】グループワークの見どころ 指示待ちでなく率先を 上田晶美(2018/9/4付 日本経済新聞 夕刊)(2018/09/11)


 先日、大学低学年のための就活セミナーの講師を務めた。場所が大学内ではなく、外部の公共の会場だったため、テーブルや椅子の設営が必要だった。会場の準備を私も含め、主催者側の社会人がテーブルを運んで進めていたが、早めに集まった十数人の学生は片隅で固まって見ているだけ。動こうとしない。

 何をしていいのかわからなかったのかもしれないが、目の前で社会人が椅子やテーブルを運んでいたのは見えていたはずだ。私はたまりかねて「みんな手伝ってくれる?」と声をかけた。慌てて学生たちはテーブルを運び始めた。

 セミナーではインターンシップを想定して、グループワークをやってみた。時間内に折り紙でいかに高い塔を作るかというゲームで、グループ対抗にした。テーブルを囲んで着席したまま、皆、考え込んでいて、なかなか進まないし、腰が重い。

 終わり際になってようやく何人か立ち上がり、高く積み上がったが、どのチームも今ひとつ活気のないワークに終わった。振り返りで「何を見られていたと思いますか?」と学生たちに聞くと、「コミュニケーション力」と一様に答えた。果たしてそれだけか。

 もちろん折り紙を折って積み上げるワークそのものに大した意味はない。初めて顔を合わせる人たちと、いかに協力し、物事を進められるかを見られているのである。コミュニケーション力は必要だが、その前に自ら行動すること、協力し合うという姿勢が重要ではないだろうか。

 それはワークだけでなく、その前の会場設営から始まっている。それがわかってくれたのか、セミナーの終わりには、学生たちも率先して折り紙や飲み物などを片付けていた。

 その翌日、ある企業の社内研修があり、また私は講師として出向いた。会議室に入ると、参加者の社員の方から先に「先生、机をどのように並べますか?」と聞いてくれた。

 皆がさっと動き、あっという間に、見事なチームプレーでセッティングは完了し、時間を節約できた。気持ちのよいスタートだった。これが学生と社会人の違いだなあと実感した2日間の出来事だった。

 学生のみなさんはインターンシップや本番の試験の時、どこから見られているのか、考えて行動しよう。率先して自ら動こう。何をしたらいいかわからなかったら、手伝うことはありますか? と質問しよう。

 自分から動ける人か、それともお客様状態でただ見ている人か、指示待ちの人か。会社側は見ている。片づけも同様だ。この夏休みにインターンシップに行く人は心がけてみよう。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

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