知っておきたい就活情報

【就活のリアル転載】変わる「一般職」 銀行、事務から営業補佐に 上田晶美(2018/9/25付 日本経済新聞 夕刊)(2018/10/02)


 「今年は金融機関の一般職(事務職)の人気がなくて、応募者が少なかったですね」

 ある女子大学の就職センターの担当者の話だ。今は10月1日の内定式を控えて4年生の就活は一段落し、次の学年3年生の就活準備がスタートする切り替えの時期にあたる。大学の就職センターは今年の総括を行っているところなので、私はそれを何校か取材して回った。その中で出たのがこの話だ。

 金融機関、特に銀行は優良企業には変わりないのに、なぜ学生、特に女子学生の希望者が減ったのか。それは、銀行の説明会を通じ、求められる人材が今までと違ってきたことを就活生が分かったからだという。

 銀行の一般職(事務職)といえば、カウンター業務中心で、内勤の仕事だった。ところが今年の説明会では「数年後には営業も担ってもらいます」というものが目立った。中には「土日も仕事の可能性が出てきて、お客様の相談業務にあたってもらうこともあります」という説明があったというのだ。正直な説明でよいと思う。

 銀行の事務作業はかなり削減された。店頭での顧客対応すら減り、RPA(ロボティクス化)している。金融業界はわかりやすく一般職(事務職)を減らしていると思われる。つまり、金融業界の一般職は今後は事務職としてではなく、営業補佐になるということだろう。今まで事務を希望だったタイプの人は金融業界の一般職には向かなくなるのかもしれない。

 「確かに昨年までは、きっちり細かな作業ができそうなタイプが採用されていた。今年はタフそうなしっかりしたタイプの人が採用されています」と、その担当者は言っていた。営業を視野に入れると求める人材像が違ってくるのはあたりまえだ。ロボティクス化が進み事務職はどんな業界でも少なくなっていく傾向にある。

 他にも今年は求める人材像が顕著に変わったと思う業界があった。商社である。商社といえば、地球上のどんな辺境な地でも生き延びて物を売るという体育会系なイメージがあった。だが、そうではなく「頭脳明晰(めいせき)なゴリラ」を求めているという説明があったそうだ。

 体力よりも、ビジネスチャンスをとらえて事業を立ち上げる構想力や発想力が求められるのだ。今まで以上に、物事の本質を見抜く力が問われるようだ。

 IT(情報技術)に代表される新規の業態だけでなく、金融、商社などの古くからある業界も中身の仕事は様変わりしている。しっかりと業界研究をして、自分のイメージと合っているか、時代の変化に対応できそうか調べよう。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

前のページに戻る