就活プロセスで今の時期に学生がくぐらなければならない関門として会社説明会、エントリーシート、適性検査について、どうすればよいかをこれまで書いてきた。最後にグループ討論の対策を考えていきたい。
企業はなぜ、グループ討論を課すのか。一つには、6月1日までは個別面接ができないからという消極的理由がある。もう一つ、積極的な理由としては、個別面接では見えない人間性がよくわかるからだ。集団の中で比較することにより、自社に「合っている」人がよくわかる。
取り繕ったり、別の人物かのように成りすましたりしても、すぐにボロが出る。仮に、成りすましでうまく内定が出たりしたら、今度は入社後に苦労する。
だから、そんなインチキはせずに、素(す)の自分を出し、それが企業に合っているかどうかを見てもらおう。面接や適性検査のときと同様にグループ討論でも、自分らしさを随所で出すことが重要だ。
引っ込み思案でも口下手でもいい。その分、他人への配慮があること、物事を深く考えること、感激屋であること、そういった点を出そう。
たとえば軽はずみだけど、その分、フットワークがよいことを示すのもあなたらしさだ。KY(空気が読めない)で我を通すのもOK。もしくは、何事にも文句を言わずにうなずくのもよいだろう。そうしたあなたの個性が好きな企業は必ず現れる。そこに入れば楽しく過ごせること間違いない。
必要な作法的なものを三つだけ挙げておく。一つは、何も反応を示さないことだけはやめる。浅慮や引っ込み思案、口下手でも、無言で無反応よりもずっといい。企業に「判断する」材料を必ず示すようにしよう。
二つ目は、「話す」ことを目的にしないことだ。何を話そうかばかり考えて他者の話を聞かず、自分の番が終わったらホッとして、上の空。そういうのはダメだ。他者の話をよく聞き、考える。その話に同意するのも、反論するのも付け加えるのも、まとめるのもよい。
多くの学生は「話す」こと一辺倒なので、そうした「聞き」、「反応する」姿勢は大いにプラスとなるだろう。
三つ目は、「意見は変えてもいい」。軽々に右顧左眄(うこさべん)するのは良くないが、議論を尽くし、相手の論点が正しければ、論拠を示して考えを改めるのは悪くはない。そうした論理的な柔軟性も企業は高く評価する。
昨今、企業はインターンシップに力を入れ、それを夏秋冬と3回行うケースが増えてきた。そうしたことから、旧来通りに会社説明会から就活を始めても間に合わないと心配をする人も多いが、それは間違いだ。今でも企業内定者のうち、説明会から就活を始めた人が7割を超える。だから、これから始まる関門をうまくくぐり抜け、内定を勝ち取ってほしい。
(雇用ジャーナリスト)