「オンラインでの面接は受かっても、対面の面接が苦手な学生もいますよね」とある大学のキャリアセンターの人から言われた。以前の「オンライン面接が苦手」というこの欄の記事を受けての会話だ。
オンライン面接は多くの場合、第1段階の選考なので、そこでつまずくと次に進めず残念で仕方ない。そこを突破して初めて対面の面接に進める。対面面接こそが天王山となる。
新型コロナウイルス禍前はすべて対面での面接だったわけだから、面接が苦手というのは対面のことだった。今はオンラインと2つに分けて対策を考えることが必要になってきている。
対面の面接が苦手という悩みは、このコロナ禍になってますます深刻になっていると思われる。大学の講義も対面に戻ってきたとはいえ、マスク生活は続いている。コミュニケーション力は社会人も含め全国民的に落ちているのではないか。
面接の場ではパーテーションなどを使用して、マスクを取ることもある。マスク生活で表情が硬くなっているところに、さらに面接という緊張する場面で、実力を出せる方がすごいと感心するくらいだ。
もちろん面接というのは見た目や話し方という表現力だけの問題ではない。話す内容、本人の考えが肝心かなめである。オンライン面接と対面面接の違いは何なのか。
オンライン面接というのはあくまでも一次面接である会社が多く、対面面接が二次、三次もしくは役員の出てくる最終面接である。選考基準が違うことを忘れてはならない。
一次面接では会社側は比較的若手が対応する。人事担当者だけかもしれない。選考基準は社会人としてコミュニケーションが取れるかどうかという、比較的低いハードルだろう。
二次面接に進んでくると、現場のマネジャークラス、少し年次が上のクラスの社員が対応する。管理職かもしれない。そうなると選考基準も一般的に社会で通用するというレベルではなく、自社に適応して働く能力があるのかという目線になり、少しハードルは上がる。
三次面接、そして最終・役員面接になると、選考基準はさらに厳しくなる。役員クラスが出てくると、親子ほど年齢が離れている場合もあるだろう。選考基準は自社で管理職になっていけるか、会社の将来を託せるかという10年単位での活躍を見通すことになってくる。
面接は進むにつれて、会社側は役職が上がり、年齢が上がる。選考基準も当然厳しくなっていく。対面面接が苦手というのは、単に人と面と向かって話すのが苦手という表現力の側面と、会社への理解度や話す内容に論理性があるかなど内容の側面の両方がある。対面で伝えることに慣れるとともに、企業研究をさらに進めて行ってほしい。
(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/