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【就活のリアル転載】面接で短所聞かれたら 克服策説明、長所に自信を 上田晶美(2023/4/4付 日本経済新聞 夕刊)(2023/04/11)


 「就活の面接で短所を聞かれて『メンタルが弱いことです』と答えてしまいました。落ちたと思います」。ある女子学生が落ち込んだ様子でそう言ってきた。いつもは明るい人だ。だからこそ、逆に「意外とメンタルが弱い」と友達にでも言うように思わず口をついて出たのかもしれない。正直なのは良いと思うが、面接となると少々無防備すぎるだろう。

 このように面接では、長所だけでなく短所を聞かれることがよくある。まだ面接慣れしていない時期なので仕方がなかったが、一応答えを用意しておくとよいと思う。

 例えば「慎重すぎるところがあるので、計画をたてたら即行動するようにしています」などだ。どのように短所をカバーしているのか、まで言えればむしろ長所に聞こえなくもない。

 だからといって、聞かれてもいないのに、自己紹介として短所を初めから言う人もいるが、その必要はないと思う。面接は自分の長所を伝える場だ。

 そもそもなぜ企業は面接で短所を聞くのだろうか。仕事は長所を生かして行うものではないのか。例えば、積極的な性格を生かして営業をする。協調性があれば人のサポートをする、などだ。短所を生かして働くことなどできないし、もし聞かれても彼女のように正直に言う人は少ないと思われる。

 そう考えると短所を聞く目的は、思いがけない質問をして本音を引き出す、または冷静に自分を見ることができているかを見極める、ということかもしれない。どちらにせよ、少し意地悪な質問といえるだろう。

 似たようなネガティブな質問として、「困難だった経験」や「失敗談」を聞かれる場合もある。どう乗り越えたのか、を聞きたいのだとは思うが、学生を追いつめる可能性もあり、大した意図もないならやめてほしいと思う。

 もしも学生からの逆質問で「入社してからの一番の失敗を教えてください」と言われたらどう思うか考えてみてほしい。「御社の欠点はどこですか?」と聞いてきたら、上から目線の失礼な学生だと思ってむっとするだろう。

 会社側と学生は本来対等であるべきだ。ならば自分が聞かれたくないことを学生に対して聞くのはどうなのか。

 お互い人間対人間として相対しているのだから、相手の人格を尊重すべきだ。若手の人材不足で、むしろ売り手市場になっている昨今、真に学生を大切にする面接をしてほしいものだ。

 人間だから短所があるのは当然だ。その短所を克服するために学生時代は頑張ってきた側面もあると思う。でもこれからの仕事は長所でするもの。社会に出てからは自分の短所のことは忘れるくらい、長所を伸ばしていってほしい。卒業生へのはなむけも込めて。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

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