知っておきたい就活情報

【就活のリアル転載】就活でのOB・OG訪問、機会は減少 仲間と企画も 上田晶美(2024/2/20 日本経済新聞 夕刊)(2024/02/27)


 「気軽なOB訪問がしたいです」。大学2年生たちと話していたら、そんな意見が出た。3年生になったらインターンシップが始まることがわかった上での発言だ。大学は4年間あるはずなのに、就職活動のことを考えると、自由に好きなことができる期間は2年生までとも考えられるのが現状である。

 気軽どころか、OB訪問をする機会は少なくなってきている。その理由として、個人情報の管理が厳しくなり、大学のキャリアセンターでOB・OGを紹介してもらうことがかなり難しくなってきたこと。また言語道断なハラスメントが過去にあったことなどが挙げられる。

 その代わりとしてインターンシップがあると思うが、企業情報などを提供するオープンカンパニーや、就業体験を伴うインターンシップに気軽に行ける人は少ないだろう。会社を知るために参加するのではあるが、逆に見られているという緊張感がある。もしかしたらそこから早期選考につながるかもしれないと思えば、下手な質問などできないというものだ。

 運よくOB訪問に行けても状況は似たりよったりで、気軽に話が聞けるとは思えない。ある程度会社のことを調べて行かなくては失礼だし、その面談情報は多くの場合、OBを通して会社の人事部に上がっていく。

 では彼らが希望している気軽なOB訪問で聞きたいことは何なのか。もう少し掘り下げて尋ねてみたところ、会社内部の雰囲気を本音ベースで聞きたいのだという。人間関係の良しあし、先輩や上司との関係、仕事を教えてもらえるか、失敗した時に叱責されないか、などだそうだ。ある程度関係性ができないとこういった本音の話を聞くことは難しい気がする。

 ではどうすればできるだろうか。まずは社会人との接点をどのように持つか。例を挙げてみると、ある親は子どもに「学生時代に親戚以外の100人の社会人と会って話をすること」という課題を与えているそうだ。もちろん親も積極的に紹介している。100人に会えば、仕事の種類もバラエティーに富むだろうという狙いか。

 また、ある大学はメンター制度を必修科目の中に入れ、大学が選定したメンターに会ってリポートを出すことを課している。最低でも10人くらいには会うようだ。私が学生時代に入っていたサークルでは、今では学生とOBとの就職相談会があり一度に20人くらいのOBに話が聞ける。しかも若手のOBに限定している。

 大学の講義に組み込まれていなくても、自分でトライすることはできる。サークルの就職懇談会は学生自身が仲間と企画すればよい。OBに連絡を取れれば喜んで集まってくれるはずだ。低学年のうちに多くの社会人に会うことは、職業観を醸成する良い手だてである。本音を聞くために、自分から動いてみよう。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

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