知っておきたい就活情報

【就活のリアル転載】就活で苦労したことは 自己分析、他者の声大切に  栗田貴祥(2024/2/27付 日本経済新聞 夕刊)(2024/03/05)


 2025年に卒業見込みの大学生は、企業側の採用広報解禁となる3月1日が目前に迫ってきた。24年卒の先輩たちは就活でどのようなことに苦労したのだろう。リクルート就職みらい研究所の「就職プロセス調査」(23年12月発表)から具体的な声を見ていきたい。

 同調査では民間企業への就職確定者に「就活で最も苦労したこと」を聞いた。上位を占めたのは「(対面の)面接」の18.2%と、「自己分析」の18%でほぼ同率だった。次いで「エントリーシートなどの書類提出」が16.9%だった。自由回答からは、「自己理解を深め、それを面接などで伝える難しさ」や「孤独な状況で就活を進める大変さ」などが読みとれた。

 自己分析で苦労したという学生からは「自分のことをよく知らないまま就活を進めてしまっていたので、改めて自分を見つめ直す時間を作った」「自己分析をしてからその内容を企業ごとに書き分けることや、文章に落とし込み内容をチェックすることに苦労した」という声があった。「エントリーシートを書くのに、自分のこと、会社のこと、社会のことを知らなかったので時間がかかり苦労した」という意見もあった。

 入学時から新型コロナウイルス禍の影響を受けた年次だ。一人で就活に向き合う大変さという点では「コロナ禍で頼りにできる先輩が少なく、ほぼ自分一人で就活を行った」「先輩や友達がいない状況で孤独に就活を始めたため、精神的にもつらかった」といった声が目立った。「インターネット中心の情報収集に苦労した。誰か対面で話せる人がいたらもっと情報収集や自己分析が進んだのではないか」と振り返る学生もいた。

 一方で企業の採用意欲は高く、「内定取得」という点だけを見れば、学生にとっては追い風が吹いている。ただ、就活のゴールは内定ではない。これからどんな人生を送りたいのか、自分にとことん向き合った上でファーストキャリアを選択するのが重要となる。就活は様々な業界、企業の情報に触れられる貴重な機会だといえる。

 自己分析では、まずは自身に主観的に向き合い、大事にしたい価値観や、将来はこうありたいという姿などを想定してみよう。その上で大切なのは、自分を客観的に見てくれる他者の存在だ。家族や友人、大学の先生や社会人の先輩と対話しながら、自分では気づけなかった強みや弱みを知ることで、自己理解は一層深まっていく。

 企業分析も同様だ。企業や仕事を知る先輩社員と接点を持ち、現場の生の声に触れることで、自分とその企業にどんな共通点があるのかが見えてくるだろう。自分なりの軸を周りとの対話の中で検証し、新たな視点を加えて深めていく。そのプロセスが、納得感のあるキャリアの選択につながっていくだろう。

(リクルート就職みらい研究所所長)


     

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