
「『なぜ今まで内定がないのですか』と聞かれたら、ウソでもあると言った方がいいですか」と、就職でまだ内定がない大学4年生が質問してきた。
多くの企業では10月1日に内定式が執り行われ、来年春の入社予定者を確定しているところは多い。だが、それは大手企業中心の話。大企業中心に初任給を上げるところが増え、大企業への人気集中がさらに加速している傾向がある。しかし、まだ採用予定数に満たない企業、特に中小の企業は採用活動を続けているので、あきらめずに就職活動を続けてほしいところだ。
「内定がないと言うとダメな学生と思われるのでは」と心配になり、ウソでもあると言った方がよいと考えるのかもしれない。だがそれはやめた方がよい。
1つウソをつくと、さらに深掘り質問で「どんな業界ですか」「何社くらい受けてのことですか」に聞かれ、次々とウソの上塗りをしていかなくてはならず、苦しくなる。そもそも「なぜ今まで内定がないのか」など追及されたくないものだが、そういった質問が心配ならば、どう答えるかを用意しておけば、気持ちは軽くなるだろう。
だいたい、今の時期に就活をしている理由には大きく3つ考えられる。1つは「時期」の問題。就活自体に「出遅れた」というのであれば、「なぜ出遅れたのか」ということを説明できるようにする。「部活が忙しかった」のか「学業で手いっぱいだった」のか、もしくは「やりたいことがわからず、就活できなかった」のか。次に来る質問は「では弊社を受けてくれた理由は」と志望動機を聞かれるので、それにも答えられるようにしておきたい。
2つ目は「志望業界の変化」だ。当初受けていた業界が合わないとわかり、志望先を変えたといったケースだ。公務員志望や大学院志望だった人が変更したということも含まれる。
志望先が大きく変わると、そもそもその業界の企業のインターンシップに行っていないことが多い。会社研究が遅くなってしまったのならば、内定に至っていない理由として納得がいく。これは1つ目の出遅れの理由にも共通している。
3つめは「スキル」の問題。「面接で緊張してしまい、うまく話せなかった」という就活の方法論もあるだろう。対策として「キャリアセンターで練習した」など、克服したと言えるようにしたいものだ。対策をしていないままだと、課題解決力がないと判断されることもあるので、あまりうまくなっていなかったとしても、努力したことは伝えるようにしよう。
 とにかく、今この時期で内定がないというのは心細い状態ではあるが、まだまだこれから内定は出る。採用活動を行っている企業はたくさんあるので、これまでの就活を振り返り、対策をして受け続けていこう。
 
(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/