
1月末から2月にかけては、大学の後期試験やゼミでの発表会などが重なり、学業を本分とする学生にとっては大事な時期になる。一方で、早期化する就職活動でも、2月にはすでにヤマ場を迎える3年生は少なくない。
卒業前年の2月1日時点での内定率を見ると、当センターの調査では2017年卒は2.3%だったが、年々上昇し、23年卒は13.5%と10%台に乗せた。その後は上昇に拍車がかかり26年卒は39.3%と、実に4割の学生が1社以上の企業から内定を得ている状況がある。
ここから逆算すれば、その前の12月には一次面接など何らかの選考が始まり、1月には最終面接へと進む学生が一定数いるということだろう。
さらに冬期休暇中にはインターンシップ等のキャリア形成支援プログラムも行われ、学期末に向けて忙しくなる学業と、就活の重要なプロセスが重なるケースも多いと考えられる。
都内の私立大学の教授から聞いたエピソードでは「研究室のもっとも重要な成果発表会と企業のインターンシップが重なり、ずっと頑張ってきた学生が発表会を欠席した」ことがあったという。「本人も悔しそうにしており、何らかのスケジュール調整できる選択肢はほかになかったのかと考えてしまう」と、もどかしさを口にしていた。
学業と就活が重なってしまうことは、これまでももちろんあっただろう。ただ、昨今の就活早期化により、学生や大学側の想定よりも早く選考に呼ばれることが増え、スケジュールのめどを立てにくいという側面もある。
例年の動きと異なるために今後の見通しが読めず、「今のタイミングを逃しては、もう選考のチャンスがないのではないか」と学生に思い込ませてしまう。そんな背景もあるのではないだろうか。
そこで企業側には、学生たちが不安に思う気持ちをくみ、日程調整の段階で学業への影響が出ないよう予定をヒアリングしたり、広範囲で候補日を設定したりと、学びの機会を最大限尊重する姿勢を大切にしてほしい。学生の個別の事情に寄り添うことで「この会社なら、入社後も社員のキャリアを大切にしてくれる」と、エンゲージメントの強化にもつながっていくだろう。
学生一人ひとりの学びによる成長の機会を最大化することは、これから社会に出る人材の活躍、パフォーマンスの最大化につながっていくはずだ。
人口縮小社会では20代の若手人材はこれからますます希少になっていく。悔いなく学業に向き合える環境を、企業を含め社会全体で醸成していくことが、一人ひとりの可能性を花開かせる社会を作っていくことにつながるのではないだろうか。
(インディードリクルートパートナーズリサーチセンター上席主任研究員)