
3月1日に2027年卒採用の広報活動が解禁となった。ここから就職活動を一段と加速させていく学生もいるだろう。
依然として学生への追い風が続く新卒市場。採用活動が早期化し、2月時点で実質的な内定を取得する学生が年々増えていることもあり、就活をタイパ(タイムパフォーマンス)よく早く終えたいと考える傾向も見られる。
当センターが25年卒の学生を対象にした調査では、就活時に「OB・OGなど社会人の先輩を訪問する」「エントリーシートなどの書類を提出する」「企業説明会に参加する」など、採用選考の応募に関する様々な項目で実施率が低下傾向にある。一方で内々定・内定を取得する率は上がっており、一見するとタイパよく内定を取得できているといえるかもしれない。
ただ、学生から寄せられる悩みには「入社先は決めたものの、十分に情報を収集した上での選択だったのかと今でも迷いが残っている」「『自分にはもっと合っている企業があるのではないか』という気がして、これで就活を終えていいのかと判断しかねている」といった声も多い。
企業を選ぶ基準に関する調査では「就職先決定を振り返ると、安易に決めてしまったと感じる」「就職先について、もっと深く考えるべきだったと思う」がともに約4割となった。選択肢を十分に検討したとはいえないという、学生たちのもやもや感や不安な思いが読み取れる。
就活は社会の実像に触れ、理解を深めるための絶好の機会だ。まずは情報の海に飛び込み、ときに遠回りで非効率的だとしても、様々な業界や企業に触れることで、これまで気づけていなかった選択肢が見えてくることもある。
26年卒が対象のインターンシップ等のキャリア形成支援プログラムに関する調査では、プログラム参加後に「自己理解が進んだ」「企業を選ぶ際の自分なりの基準が明確になった」と回答した学生は、1社のみ参加した学生は約35%だったのに対し、2社以上に参加した学生は約6割と大きく増えている。
複数の情報を比較すれば、興味を引かれたり共感したり、違和感を抱いたりと何らかの発見があるだろう。そのプロセスが最終的な意思決定に納得感を与える大事な経験になる。
就活に正解はなく、内定取得はゴールではない。ただ、最初の仕事(ファーストキャリア)でどんな職場環境を選び、どんな人と出会い、どんな学びを得るかが、その後の長い社会人人生に大きな影響を及ぼしていくことは確実だ。
中長期的なキャリアを考えると、就活中に自分に合うと思える仕事や企業に巡り合うためにとことん動き、考え抜くことが、真にタイパのいい活動の証しになるのではないだろうか。
(インディードリクルートパートナーズリサーチセンター上席主任研究員)