〇正社員とフリーターの比較
前回はフリーターの“メリット”と言われるものを3点あげ、それは本当にメリットなのかどうかを述べました。今回はさらに正社員(正規雇用の代表例)とフリーター(契約社員、派遣社員、アルバイター)の比較を行うことによって、話を明確にしていきます。
〇正社員のメリット
正社員として社会人生活を始めると、小規模の企業でも新人の社員教育がなされて、あとあと役立ちます。また、正社員であれば重要な仕事を次々と担当でき、業務能力も年々高まっていきます。後日、何らかの事情で転職する場合もそれらの経験が有利に働くのです。もちろん、正社員は簡単には雇用を打ち切られないですし、社会的信用度も高いです。
〇フリーターのデメリット
契約社員はだいたい1年契約で更新はほぼ5年までです。景気状況によっては1年で契約終了もありえます。契約社員の給与水準は業界によって多少の違いがありますが、私が公開されている採用時の賃金から計算した、小売業界の契約社員の年間所得は入社1年目の正社員の役7割です。入社後の賃上げも正社員に比べて低いでしょう。
派遣社員は3か月契約が一般的で更新はほぼ3年までです。契約社員以上に雇用が不安定です。
アルバイターは派遣社員以上に雇用が不安定で、賃金が安く、企業の福祉制度も皆無に近いです。
〇フリーターから正社員になれるか?
企業によっては、「フリーターから優秀な人を正社員に採用します」と説明し、実際に行っているところもあります。しかし、これはごくごく限られた人で、ほとんどの人は正社員になれないのが実情です。また、フリーターで今勤めている企業から他の企業に正社員で入社しようとしても、正社員経験がなかった人が採用される可能性は非常に厳しいのが現実です。
そのため、是非、学校卒業時に正社員で就職することを最後まで諦めないことが肝心です。
〇改正労働契約法の効果はまだ不明
2013年4月の改正労働契約法の施行により、契約社員などの有期雇用労働者が、継続して契約の繰り返し更新がなされ5年を超えた場合、無期契約への転換を申請できることになりました。しかし、その効果はまだ不明です。5年で契約更新がなされなくなる、いわゆる「雇い止め」になる危険性もあります。
そのため、現在学生の人は、この法律に期待を繋ぐようなことはしないで、正社員になることに専念してください。
〇フリーターのデメリットまとめ
フリーターのデメリットを表にまとめると次のようになります。
鏡 清澄(キャリアアドバイザー)