〇大学生活の位置づけと自覚
大学は「ゴール」ではなく「新たなスタート」の準備のTPOと自覚しましょう。
(1)社会という「大海原」に出航する「最後の港」&「ドック」
日本の大学生の大半は大学を卒業すると実社会へと巣立っていきます。人生を航海に例えるなら、大学は学校という穏やかな「内海」から実社会という厳しい『外海』へ船出する『最後の港』といえます。それは又、人生という「海図なき大航海」に備えるために補強・補修するための『ドック』ともいえます。しっかり準備をして出航しましょう!
(2)“生徒から学生”へ、“学生から社会人”への『脱皮』
まず、社会人になるためには、あの「蝉」や「蛇」が本物になるために行う『脱皮』を大学生活を通じて体現しておく必要があります。それが、次の3点です。
①受動から能動へ:
「自ら学ぶ」+「自ら働きかける」⇒「主体性の確立」
②他律から自律へ:
「規律の遵守」+「自らを律する」⇒「自己責任の自覚」
③利己から利他へ:
「他者の幸せを願う「利他の精神」⇒「自己中からの脱皮」
(3)社会が求める「社会人基礎力」(経済産業省)の集大成
そして又、社会人になるためには、次の3点を身に着けておく必要があります。その中でも特に③の『社会人基礎力』は最も大切です。
就職試験や面接の目的は、これらが備わっているかどうかを確認するためです。
①基礎学力:
読み・書き・計算・基本ITスキル等
②専門知識:
専攻学科の卒論(本来は、これが大学を卒業した証)
③社会人基礎力(=人間性):
基本的な生活習慣として、思いやり、公共心、倫理観、基礎的マナー(特に挨拶)、身の回りのことを自分でやること等々、日常生活の中でしっかり身に着け、習慣化しておくことが大切です。
〇大学生活の中での“キャリア形成”のポイント
「自分探し」ではなく『自分創り』に注力しましよう。
(1)『物の見方・考え方』――“三つの目”(特にリーダーには必須の資質)を磨く
大学の授業で受講する教養・専門科目、ゼミでの議論、クラブ活動、アルバイト等々、極論すれば、これらはすべて下記の“三つの目”を磨き、『物の見方・考え方』(=本質を見抜く)を習得するための訓練といっても過言ではありません。
①「鳥の目」:
大局観=全体を見る・森を見る
②「虫の目」:
小局観=細部を見る・木を見る
③「魚の目」:
動向観=潮目を見る・流れを読む
(2)主体的な「実践」から学ぼう――“失敗は成長の味の素”
社会に出て通用する(=役に立つ)のは、大学で学んだ知識ではなく、その知識をもとに自ら考動し、経験して得た『知恵』なのです。人間と他の動物との違いは、あのパスカルが言ったように“人間は考える葦”であり、大切なことは自分の頭で考えることです。そして、“経験に勝る知恵”はないのです。失敗を恐れず、果敢にチャレンジして、失敗から多くの教訓を学びましょう。
そのために次の3つの『かく』を大学生活の中で意識的に実践しましょう。
①「汗をかく」:
チャレンジする・色々な経験をする・大いに失敗する
②「恥をかく」:
一歩踏み出す・やってみる・自分で確かめる
③「字をかく」:
見聞・思考・考えたことを文字に表現する
〇『新しい人生の扉』を開く
“時(間)は永遠(無限)の旅人、人生は一回限りの旅”
貴方の人生が、素晴らしい旅になるかならないかは、ある意味では社会人になる最後の『大学生活の過ごし方』にかかっているといっても過言ではありません。
これまでの数倍のスピードで変化する現代社会で生きていくためには、「変化への適応力」と「仕事への適合力」を磨き続けなければなりません。つまり、一生『キャリア形成』に努めなければならないということです。
その『基礎』となる“大学生活の中で育むべきキャリア”をしっかり育んで旅立ってください。そうすれば必ず『新しい人生の扉』が開かれます。
早川 徹(キャリアコンサルタント)