〇学生からの質問
学生から、「就活の面接で、『会社に入って何のために仕事をしますか』と聞かれて答えられませんでした。どういうことでしょうか」という質問がありました。
私は学生が就活をするに当たって、まず、「会社の求める仕事の意味」を、しっかり理解しておく必要があると話しています。これを分かっていないと、自分の行動や発言が、会社の求めている期待からずれてくるからです。
学生に、「仕事は何のためにするのか」と聞くと、「自己成長、勉強、やりがい、生きがい、自己実現、お金を得る」などと多くの学生が答えます。
学生の立場からすれば、このような答えになるのですが、ここで重要なことは、「会社に入って」というところです。面接官が求めているのは、あなたが会社に入ったら、「会社のため」とか、「会社を支える」、または、「お客のため」、「チームのため」、「相手のため」という相手優先の姿勢を求めているのです。
学生の多くが思う「自己成長、やりがい、生きがい、自己実現」などは、役割を果たした結果として得られるものなのです。
〇ロールプレイ
分かりやすいように、ロールプレイをしてみましょう。
あなたが人事部長になって、給料を支払う立場としましょう。
「会社に入って何のために仕事をしますか」
「はい、それは、自分が成長するため、勉強するため、やりがいを得るため、生きがいを得るため、自己実現をするため、生きるため、お金を得るため・・・」
人事部長のあなたは、どう思いますか。
「自分がしたいことばかり言っています。自己中心のように聞こえます」
そのとおりです。「会社に入って」という意味は、自分のことを求める前に、「会社の求めに全力を尽くす」ことです。仕事をするとは、「相手のために一生懸命役割を果たすこと」です。
営業職希望であれば営業という役割を、経理職であれば経理という役割を、IT技術職であればIT関係の役割を、技術者であれば、技術開発、商品開発という役割を果たすことを求めているのです。面接官が聞きたかったのは、会社に採用されるということは、会社という立場が分かっているのか、どのような貢献ができるのか、どのような役割を果たそうと考えているのか、ということです。
〇内定へのスピードアップ
学生が、「会社に入って仕事をする」という真の意味を理解すると、内定へのスピードが早まります。自信を持って就活をすることができるようになるからです。
会社ということでお話ししていますが、これは公務員であろうと、組織に入るということでは、同じことが望まれます。
阪井 輝昭(キャリアアドバイザー)