〇企業が新卒学生に求める能力の1位は?
経団連の「2016年度新卒採用に関するアンケート結果」によると、
・1位 コミュニケーション能力 87.0%(+1.4%)
・2位 主体性 63.8%(+3.7%)
・3位 協調性 49.1%(+2.7%)
以下、チャレンジ精神(46.0%)、誠実性(43.8%)と続きますが、「コミュニケーション能力」は13年連続で1位となっています。
その意味するところは、企業は昨今の新卒学生の「コミュニケーション能力」にかなり疑問を抱いていると思われます。
〇組織における「コミュニケーション」の機能・役割とは?
『組織の3大要素』として次の3点(=3C)が挙げられています。
①共通の目的(Common Purpose)
②協同への意志(Cooperate Willingness)
③コミュニケ―ション(Communication)
つまり、強い企業組織とは、「共通の目的」(経営理念・経営方針・年度予算等)が明示されており、それを全従業員が理解納得し、その実現に向かって“頑張ろう!”という「協同への意志」が強く発揮されている組織ということになります。
そして、その「共通の目的」と「協同への意志」を繋ぐ重要な役割を果たしているのが「コミュニケーション」だと言われています。
〇人生を豊かにする「コミュニケーション」とは?
(1)コミュニケーションの原点は『挨拶』
私たちの日常生活は、家庭でも職場でも「挨拶」に始まり、「挨拶」で終わります。
「挨拶」は社会生活の潤滑油なのです。つまり、コミュニケーションの原点は『挨拶』であり、“あかるく・いつも・さきに・つづける”ことが大切です。
(2)「フェイス・ツー・フェイス」&「ハート・ツー・ハート」
今日の進化する「デジタル社会」では、「ICT」(情報技術)によるコミュニケーションが主流を占めるかもしれませんが、“真意を伝え共感を得、そして人を動かす”ためには、直接相手に会って、しっかり相手の目を見みながら情熱をこめて語ることが大切です。
~“頭に訴えてはいけない。心に訴えなさい”(マンデラ元南ア大統領)~
(3)「話す」より「聞く」(=傾聴)&「TPO」
コミュニケーション能力の本質は、「相手の言いたいこと・言っている内容を正確に把握し、相手のニーズに的確に応える能力である」と言われています。
したがって、まずは、「話す」ことよりも相手の話をじっくり「聞く」(「傾聴―受容―共感」)ことが何よりも大切です。
そして、どんなに素晴らしい言葉でも、どんなに重要な話でも「TPO」(=時・場所・機会)を間違えるととんでもないことになってしまうことにも留意しましょう。(俗に「空気を読む」)
〇「コミュニケーション能力」の究極とは?その根源は?
“人あるところにコミュニケーションあり”。私たち人間は何処にあってもコミュニケーションを取らなければ生活できない存在です。
その際、「何を伝えたか」ではなく「何が伝わり、相手がどんなアクションを取ってくれたか」。つまり、コミュニケーションの究極は“人の心をとらえて人を動かす”と言うことになります。
話し方がうまい下手というスキルの問題ではなく、“あの人が言うことなら・・・、あの人の為なら・・・”と。真に「コミュニケーション能力」の根源はその人の『全人格』と言えるのです。
~“人生の質はコミュニケーションの質に等しい”(A・ロビンソン)~
★コミュニケーション能力
=全人格+[受信力=聞く・読む/発信力=話す・書く]+[TPO]
早川 徹(キャリアコンサルタント)