
前回、SNS上のフェイク情報の拡散について詳述した。それらを踏まえた上で情報分析力を高めるためには情報選別、収集、分析、判断、対応の全ての過程において小さな変化を見逃してはならない。情報選別とはフェイク(偽情報)とファクト(事実)を厳正に峻別することである。これができないとフェイク情報に翻弄されることになる。情報収集とは取り組むべき課題の前提となる情報を的確に収集することである。課題を克服するために必要な情報と無駄な情報を切り分けることである。そうでないと無駄な情報が必要な情報の分析を阻害する。
また正確な情報を把握しなければ課題を克服するための方針も誤ったものになってしまう。分析・判断・対応とは、具体的なファクト(事実)の中にどのような問題点があるのかということを整理することである。例えば人権侵害事案であれば、その中の人権侵害性や違法性等を明らかにすることである。さらになぜ発生したのかという「背景・原因」を明らかにすることであり、それらの背景・原因を取り除く(克服する)ための「課題」を明確にした上で「具体的な方針」を立案することである。
上記の大前提が厳正な現実把握である。フェイクを分析しても正しい背景・原因や方針は立案できない。「正しい方針は正確な現実把握から与えられる」ことを忘れてはならない。
正確な情報を把握するためには、本連載でこれまでから述べてきたように自身の予断や偏見を排除しなければならない。さらに推測と事実を峻別することも重要である。多くの人びとは自身の希望にそって推測し、それを事実と判断することが少なからず存在する。これらは「希望的観測」であって「厳正な事実」ではない。
隠れた情報を見つけ出すためには明確な問題意識を持つことも重要である。
情報感度を高めるためには情報に振り回されてはいけない。情報に振り回されるのは情報感度が高いからではなく、情報の軽重が理解されておらず、表層しか理解されていないからである。情報選別が不十分であれば反応する必要のない情報にも過剰反応する。結果として情報に溺れることになってしまう。情報の背景や本質を理解せず、表層しか捉えていないと対応も誤る。
情報感度とは、情報に敏感になれということだけではない。予断や偏見を排除し、デマや推測と事実を峻別し見極めることである。
北口 末広(近畿大学人権問題研究所 特任主任教授)