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【社会に出る学生のための人権入門】(第101回)就職活動と人権 ー 労働は人間的尊厳の基盤(2026/03/16)


 本年2月10日に当センターの総会があり、「『公正採用センター』設立から15年」というテーマで記念講演をさせていただいた。その内容を本連載の中で紹介していきたい。
 まず労働は人間的尊厳の基盤であり、個人にとって多層的意義が存在し、人間が社会の中でどう生きるか、自分をどう理解するかと密接に関わっていることを伝えた。
 まず第一に労働は自己実現の場であり、➀自分の能力や創造性を発揮する機会になること、➁「自分は何ができるのか」「何を大切にしているのか」を知る手がかりになること、③成長や達成感を得られること、④労働は単なる作業ではなく「自分を形づくるプロセス」になることを詳細に述べた。
 第二に社会とのつながりを生むことになり、①社会的ネットワークが広がること、②社会の一員として役割を果たしているという感覚を得られること、③孤立を防ぎ、精神的な安定にもつながること、④人は誰かと関わりながら生きる存在であり労働は重要な接点になることを解説した。
 第三に社会への貢献になり、①自分の仕事が誰かの役に立っているという実感が持てること、②社会の仕組みを支える一部としての誇りを持てること、③「必要とされている」という感覚が自己肯定感を高めることを紹介した。
 第四に生活のリズムや構造をつくることになり、①日々の時間の使い方に秩序が生まれること、②生活にメリハリがつくこと、③仕事があることで余暇の価値も高まること、④働くことは、生活の「骨組み」をつくる役割にもなることを詳しく論述した。
 第五に学びと変化の源泉であり、①新しい知識やスキルを得ること、②他者との関わりから視野が広がること、③社会の変化を肌で感じることができること、④労働は人生を通じて続く学習の場でもあることを強調した。
 第六に自分の物語をつくることになり、①「自分はどんな人生を歩んできたか」を語る材料になること、②仕事の選択や経験が人生のストーリーを形づくること、③価値観や生き方の表現になること、④働くことは自身の人生の物語を編む行為であることをそれぞれの人生の歩みを思い出していただきながら詳しく論じることができた。
 上記の解説を具体的な事例を交えながら総会参加者に力説し、「公正採用センター」が果たしてきた重要な役割を振り返ることでセンターの意義を改めて確認することができた。
 次回も記念講演の続きを紹介していきたい。

北口 末広(近畿大学人権問題研究所 特任主任教授)



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