総会・記念講演

第15回総会・記念講演(2026年2月10日)

第15回総会を大阪府立労働センター(エル・おおさか)南館5階ホールにて開催いたしました。

当日は、理事長・津組修の開会挨拶に続き、大阪労働局 職業安定部 職業対策課長 松本光次様、大阪府商工労働部 労働政策監 小川勝様、部落解放同盟大阪府連合会 執行委員長 赤井隆史様、よりご祝辞を賜りました。

議事では、2025年度事業・決算報告、2026年度役員選任、事業・予算計画、会費改定など7議案について審議を行い、すべて承認・可決されました。

総会に引き続き 記念講演を開催しました。

 

講 師:近畿大学 人権問題研究所
    特任主任教授 北口 末広様

テーマ:「センター設立から15年」
~これからの公正採用と人財確保にむけて~

 
 

本講演では、当センター設立15周年を機に、設立以来多大なるご支援・ご指導を賜っている近畿大学特任主任教授 北口末広様を講師にお迎えしました。センター設立の背景やこれまでの歩みに触れて頂くとともに、同和問題をはじめとする採用差別の現状と課題、デジタル時代における新たな人権課題を踏まえ、これから目指すべき公正な採用と人財確保の在り方について理解を深めました。

以下、北口先生のご講演内容 (センター啓発事業委員による要約)

1977年に発足した「企業内同和問題研修推進員制度」は「部落地名総鑑事件」を契機に制定され、来年で50年を迎えるが、法的根拠のない行政指導として運用されているのが現状である。現在も部落差別を直接規制する法律はなく、インターネット上での新たな差別的情報の拡散などが後を絶たないため、法整備が必要だ。

そのような中で、公正採用人権啓発推進センターは、「公正な採用選考システムの確立」や「認証制度の普及」を通じて、『ビジネスと人権に関する指導原則』を公正採用の視点で具体化している。さらに、生成AIの活用に伴う新たな採用差別の防止や、アファーマティブ・アクションの推進など、時代に即した人権啓発活動を展開している。

デジタル社会における差別リスクは、スマートフォン利用時間の増加に伴って、個人データの蓄積が進む中、閲覧履歴や検索履歴、SNSでの行動情報などがAIにより分析され、本人の自覚のない理由によって採用の合否判断に影響を与えている可能性がある。例えば、政治的見解や信条、出自などのセンシティブ情報も、断片的なデータの組み合わせにより推測され得ることから、「デジタル差別身元調査」がなされる可能性もある。

日本では採用差別対策が啓発中心になっている。一方、諸外国では法律・罰則・行政監督を組み合わせた規制が主流である。日本はILO第111号条約を未だ批准していない。将来、「公正採用人権啓発推進法」が制定されれば、企業の採用差別防止のための取り組みの均質化や採用差別への抑止力の強化、コンプライアンス向上につながる。

労働は人間の尊厳の基盤である。従って、採用差別は単なる不採用にとどまらず、経済的・心理的・社会的に長期的な影響を及ぼす重大な人権問題だ。一方、公正で差別をしない採用は、企業にとっても競争力や持続性を高める重要な経営戦略である。多様な人財の確保は、イノベーションや企業価値向上、組織の柔軟性・適応力向上につながり、社会からの信頼を高めることが出来る。

本講演を通じて、公正な採用の重要性と、デジタル時代における新たな人権課題への対応の必要性について、理解を一層深める機会となりました。

以上



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