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【就活のリアル転載】会社説明会の続きは喫茶店 本音ぶつけ合い「辞退者ゼロ」 上田晶美(2017/8/14付日本経済新聞 夕刊)(2017/08/21)


「急に内定辞退者が出てきて慌てている」とある中堅企業の人事担当が漏らしていた。この時期、各社の最終面接が終わり、複数の会社の内定を持っていた学生が内定を1社に絞り、他の会社に辞退の連絡をしているのだ。

内定を辞退するのは、学生の自由かもしれない。学生にとっては大事な人生の選択であるし、なかなか決められないというのもわかる。ただし、断るときは丁寧に礼儀を尽くしてほしいものだ。

中には内定の承諾書を送っても音沙汰ない学生や、電話しても無視するという学生もいると聞くが、失礼な話である。学生の無礼な行動はその学生一人の問題にとどまらず、大学全体のイメージを損なう可能性があるので、後輩のためにもきちんとしたマナーにのっとって丁寧に断ってほしい。

今年、この内定辞退にまつわる問題はいろいろなところから聞くが、中には辞退者がほぼゼロという会社もある。社員600人規模の建築資材関係の会社で、採用数は30人。しかも入社後3年間、一人の離職者もいないという。にわかには信じがたい話だ。

どんな採用方法をとっているのか、採用担当の責任者に聞いてみた。その会社は面接らしい面接は、最終の役員面接だけだという。会社説明会の次の段階は、喫茶店で話をするそうだ。

それが他社の面接に相当するのだが、試験ではなく「相互理解の場」と捉えてじっくり話をする。とことん会社のことを説明し、マイナス面も話すという。「事務所は土足なので土ぼこりがあり、整然としたきれいなオフィスとはいえません」というように。

同様に学生にも話をしてもらい、お互いがよく理解した上で、納得して次に進むそうだ。「特に志望動機は聞きません。つくりこんでいて、本音は出てこないので」と言う。「志望動機が一番大切です」と学生に教えている私には耳が痛いが、「聞かない」というのも一理あると思う。

また、ある航空関係の会社は内定を通知する際、電話でじっくりと面接内容を振り返って話すそうだ。「あなたの学生時代のボランティアの話にホスピタリティーを感じました。ぜひ、一緒のチームで働きましょう」というように。学生は自分が期待されていること、会社に入ってからの働きがいなどを感じるそうだ。メールだけのやり取りより、安心感もあるのだろう。

売り手市場の今年、会社側も学生側も誠意をもってマナーよく対応し、内定辞退のトラブルを回避してほしい。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


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