高偏差値の私立大学3年の女子学生が就活の志望先の相談に来た。「総合職よりも一般職を志望している」という。
なぜかというと「総合職になると、全国転勤が前提だから、結婚して家庭を持ち、幸せになれそうな未来が見えない」のだそうだ。
「私は仕事もしたいのですが、家庭を持って子供を産み、幸せに暮らしたいという夢がありますから」。出た! これぞ女性総合職不幸説。まだまだ根強いなあ、と驚く。
確かに転勤があると、結婚はどうする? 家庭は? と心配になるのもわかる。だからといって、転勤さえなければすべてハッピーになると果たしていえるのだろうか。
一般職ならば幸せな結婚が保証されているかというと、そうともいえないと思うのだが。私生活のことはどちらにせよ、確約できない。その前に就活においては、仕事が面白そうかどうかが大事である。
いつも女子学生の皆さんにはこう言っている。平均初婚年齢は女性は約29歳。平均だから、それより早くても遅くてもかまわないが、一つの目安ではある。ならば、少なくとも29歳までは仕事に情熱を注いでみようと考えて、仕事選びをしてはどうだろうか。
ある住宅メーカーでは、総合職は確かに全国転勤があるが、夫の転勤にともなって妻も一緒に転勤できる制度があるそうだ。これは多くの企業で取り入れている。
またこの会社では出産育児の時だけ、総合職からエリア限定の総合職になり、子供が大きくなったらまた総合職に戻るという変更もできるらしい。制度は固定的ではなく、いろいろと会社もフレキシブルに考えてくれているものだ。
ただし、逆はなかなか難しい。一般職がエリア総合職になる。エリア総合職が総合職になるというアップ転換だ。もちろん制度はあるのだが、結婚出産を乗り切るためというものではない。あくまでキャリアアップのためだ。そういうところもインターンシップや合同説明会に行って、聞いてくるといい。
彼女がなぜ転勤のない幸せな家庭にこだわるのか。それはおそらく、自分自身の両親を見て、同じような家庭を営みたいと思っているからだろう。幸せな生い立ちはかけがえのないものだと思う。
けれども親の代とは時代が違うのだ。今は男女とも働き方改革で、仕事も家庭も大事にしながらワークライフバランスに気をつけて働こうという時代だ。まだ見えない未来の結婚よりも、まずは仕事の中身について吟味しよう。
(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/