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【就活のリアル転載】部活動の長は評価高い? 組織で培った能力を伝えよ 上田晶美(2018/6/26付 日本経済新聞 夕刊)(2018/07/03)


 「きょうの役員面接は5人ともクラブ活動・サークル活動の部長だったよ。全員内定した」。あるメーカーの役員がこう言っていた。

 大学生のクラブ活動は大学公認の体育会系、文化系サークル、またその他の非公認サークルなど多岐にわたる。全国大会に出るような古い伝統のある部もあれば、昨日きょうできたような急ごしらえの部もある。中には、単なる友だちの集まりに名前を付けただけではないかというサークルも。だが、とりあえず、組織の大きさや伝統、競技の強さにかかわらず、部長・幹事長は、就職活動の面接では有利だというのはよく聞く話で、そのメーカーに限ったことではない。

 エントリーシートに、部活動の役職欄を設けている会社もある。当然、部長と記入してあれば、キラリと光るわけだ。だが、企業はそんなに部長ばかりを集めてどうするのか? と疑問が残らないでもない。

 なぜ部長が好まれるのか。真っ先に思いつくのはリーダーシップがあるということだろう。しかし、入社してすぐにリーダーシップが必要になるとは考えにくい。新入社員の時からすぐに、人をまとめていく力は問われないし、むしろ素直に人の話を聞く人の方がよさそうだ。だが、大学時代に部長をやっていれば、部員をまとめていく過程で人の話を聞く力も養われる。1人で暴走するようなタイプは、そもそも組織立っていない学生の部活動ではリーダーはつとまらないからだ。

 私が受け持つ授業の中で発表が上手な女子学生がいて、褒めたら「昔から生徒会長や部長などを経験してきているので、人前で話す機会が多かったからだと思います」という答えだった。プレゼンテーション力までついている。彼女が言うには「部長はその部への愛が一番強いし、時間的にも誰よりも部のことを考えていて、苦労が多い」。そのコミットメントの強さが組織人として好まれるのかもしれない。

 では部長以外はどうなるのか。10人の部なら部長はその中のたった1人だ。部長以外の人はダメなのかというと、そんなことはない。部活動に真剣に取り組んだ姿勢を伝え、身についた能力を評価してもらえばいい。

 部活動は競技が強いことが大事なのではなく、その活動でどんな能力が身についたかを話すエピソードの一つ。部長は苦労が多い分、得るものも大きいケースは散見するが、就職に有利になるから部長になるというのは本末転倒だし、嘘を書いてもすぐ見破られる。名ばかり部長も同様だ。部長もそれ以外の部員も自分が培った能力をしっかり伝えていこう。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

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