知っておきたい就活情報

【就活のリアル転載】優先する企業を迷ったら エクセルシートで順位決め 上田晶美(2018/10/30付 日本経済新聞 夕刊)(2018/11/06)


 「来春就職する学生に就活の振り返りをヒアリングしている。メーカーの営業に決まったNくんに一番大変だったことは何かと聞くと「スケジュール管理と優先順位付けでした」と言った。

 売り手市場の特徴として、たくさんの会社を受けられる半面、受ける会社が多過ぎて、だんだんと調整が難しくなっていくのだ。体はひとつなので、一日に何社も回ることはできず、面接が重なった場合、判断に困ることがあったという。

 スタート時の合同説明会であれば、複数の日程があり、行けるところを選んで行けばいい。だが、面接となるとそうもいかない。Nくんにとって行きたいと思う企業のトップ2社であったA社の最終面接とB社の2次面接の日程が重なってしまったことが忘れられないそうだ。

 彼にとってA社とB社は甲乙つけがたかった。B社の日程を変えてもらおうとしたが、人事に「それでは調整してみますので、お待ちください」と言われて、それっきりになってしまった。大手企業の場合、何千人という志望者がおり、調整は後回しになり、補欠扱いのようになっていくのも仕方ない。

 結局NくんはA社の最終面接を優先し、幸いにも内定をもらった。来年4月に入社する予定である。ただ、今でもB社にはかなり未練があり、本当にあの判断で良かったのかと思い出すことがあるという。それでも就活のセオリーとしては、面接の段階が進んでいて、より内定に近い会社を優先した彼の判断は正しかったといえる。

 ここで大事になるのは自分なりの就活におけるこだわり、軸のようなものだ。彼の軸は「マーケティング職」だった。大学のゼミがマーケティングだったので、興味関心が強く、その仕事に就けそうな会社を志望していた。はじめはどの会社も営業からスタートするものだが、できるだけ早くマーケティング部門に行けそうな会社をリサーチして順位付けをしていった。

 その順位付けに使ったのが、表計算ソフト「エクセル」シートである。私が推奨している方法で、受ける会社の一覧表を作るものだ。仕事内容への興味、給与、家賃補助など自分なりの項目を設け、5段階で点数を入れ、トータルして志望度合いの優先順位を決めていく。

 説明会に行くたびに、それを検証して、足し算し直し、順番を入れ替えていけばいい。簡単に順番を入れ替えられるので、手書きよりもわかりやすい一覧表ができる。そこまでしても迷うことは大いにある。「ご縁」と思って割り切るしかないが、多くの会社の中からベストな選択ができるように優先順位付けのスキルを磨いていこう。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

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