「内定先3社はすべてインターンシップに参加したところです。中でも、夏のインターンに参加したB社に入社を決めました」と4年生の内定者Eくんが話してくれた。前回に続き、企業の人事担当の皆さまに参考になる話です。
夏のインターンシップというのは、平均5日間ほどのものが多い。Eくんの場合はB社で実際に社内のトレーディングルームに入れてもらったり、商談に立ち会わせてもらったりと「この場に学生の僕がいていいのか?」と思うくらい現場を見せてもらえたという。
他社がゲームもどきのワークや、学生だけが隔離されてのプロジェクトワークに明け暮れたことと比較して、B社の包み隠さず手の内をさらけ出してくれる姿勢と懐の深さに感動したそうだ。インターンシップの期間が終わっても月に1度くらいは懇親会などに呼ばれる。何度かB社を訪れ社員の人と話をするうちに、親近感が高まっていった。
本選考もとんとん拍子で進み、最終の役員面接では「30人の社員にお会いし、社会人として尊敬できる方に出会い、ぜひ御社に入りたいと思うようになりました」と語ったという。その30人はでたらめではなく、全員名前が書ける人だそうだ。即内定となった。
一方、冬のインターンシップというのは、短期のものがほとんどで、1日限りの「ワンデー」も多い。そうなると、会社説明会とどう違うのかという批判もある。ただ、それは時期の問題で、解禁前に会社説明会はできないので、「業界研究」や「面接練習」などが行われる。
「ワンデーインターンシップはインターンシップとは呼べない」と昨年までの経団連の指針では言われてきたが、私は決して無意味とは思わない。たった1日とはいえ、学生は直接、人事担当やその他の社員に会えるわけで、会社の雰囲気などを知ることができる。
その際、本選考の前段階ということで、少し心の余裕を持って訪問できるというメリットがある。緊張せずに会話し、質問できるといい。逆に会社側からはそんな学生の「素」の姿を見ることができる良い機会だ。こうしてインターンシップは本選考ではないという余裕から、お互いが本音で相手を検討し合える貴重な場になっているのだ。
内定先は「人で決める」「雰囲気で決める」という学生が増えていることを思うと、優秀な学生を採用するには、インターンシップの場にいかに魅力的な先輩社員を出せるかが鍵になる。学生の皆さんには本音でぶつかってほしいが、マナーに気をつけることもお忘れなく。
(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/