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【就活のリアル転載】人手不足補う「留学生」 日本人学生との競合少なく 海老原嗣生(2018/12/4付 日本経済新聞 夕刊)(2018/12/11)


 出入国管理法(入管法)が改正に向けて動き出し、今後、広い業種で外国人の受け入れが可能になると騒がれている。実はこの問題も少なからず「就活」に関連する。

 そもそも、外国人の日本国内での就労受け入れは長い間、原則として高度技能者に限られ単純労働は許可されることが少なかった。そこに抜け道として用意されたのが、「日本で技能を学び本国に帰国してそれを伝承する」という名目で開始された外国人技能実習制度だ。

 ただ、この仕組みは農林水産・製造・建設などその名の通り、技能の世界が中心であり、飲食や店の売り子など、サービス業を対象にしたものではなかった。

 だとすると、街中でよく見かけるコンビニエンスストアや飲食店の外国人労働者はいったいどのようにして日本で働いているのか。まず一つ目の答えは、「日本人と結婚した人」だ。二つ目は、「正規に日本に在留している外国人の妻」。そして最後が「留学生」となる。

 実は、日本にいる留学生は、広く多様な仕事に就ける。ただ、労働時間には制限があり、通常時ではその上限が週28時間、春・夏などの長期休暇中は週40時間となっている。この縛りは、国際的に見てもかなりゆるい。

 他国のワーキングホリデーは基本、その対象年齢が若年層に限られるが、日本の留学に年齢制限はないし、しかも、上限労働時間的にも負けるとも劣らない場合が多い。だから、「労働目的」で日本に留学する外国人は実は多いのだ。

 ここまで書くと、なぜこのコラムで入管法の改正に触れたかが、ようやくわかるだろう。そう、この問題の根源には、日本の人手不足があり、今までその対策の一解決策として「留学生」があった。そこに関係しているのだ。

 外国人留学生に関しては多くの人が誤解している。各大学のその受け入れポリシーなどをうのみにして、「国際交流」や「能力の高い外国人材」などが大量に日本にやってきて、日本人学生の就職の競合となっている、と思われる人が多いのだ。

 これは、かなりの部分、正解ではないといえるだろう。

 昨年度調査では26万7000人もの留学生が日本にいる。ただ、その半数以上が、大学や大学院、高専ではなく、日本語学校・短大・専門学校に通っている。彼らは就活日本人としのぎを削る存在とはいえないのは、すぐにわかるだろう。残りの大学・大学院・高専在学生も、実は、日本人の就活ライバルとなる人は多くはない。

 これから数回にわたって、この「外国人留学生」について、書いていくことにする。

(雇用ジャーナリスト)


     

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