関東圏の地方大学で就活講座を担当した際、学生から質問を受けた。「(1日限りの)ワンデーインターンシップの開催は東京が主になると思うのですが、どのくらい行けばいいのですか?」という。
ワンデーインターンシップの有効性を前回に書いたが、学生と企業が知り合う好機であることをその講座でも話した。夏の1週間のインターンシップなら経費はかかっても、宿泊の予定が立てやすい。ところがワンデーインターンシップとなると、思いどおりに毎日予定を埋めてうまくスケジュールを立てられるとは限らないから、余計に不安になるのだ。宿泊費のほか、東京まで行き来する交通費を考えると、経費についても心配はつきないという顔だった。
こうして、インターンシップの重要性が増してくると、地方と主要都市の格差が激しくなるのではないか、という懸念は当然出てくる。実際、ある地方大学の職員の方から対策が難しいという感想を聞いた。主要都市での就職にチャレンジする学生をどうサポートするか。地方と主要都市との格差問題は以前からあり、大学側ではいろいろと工夫している。
一例を挙げると、東京で開かれる合同説明会に地方から大型バスをチャーターして参加させるというところや職員が引率するという大学もある。合同説明会ならそれもできたが、ワンデーインターンシップとなると、個人個人の参加になるので、大学側のサポートは難しくなる。
それを考えると、地方の学生は地元に就職する可能性がより高くなり、主要都市の企業を受ける機会は減少するだろう。地元企業の採用には有利に働くかもしれないが、人材の流動性という視点や、全国規模の発展を考えるとどうなのか。
採用難の主要都市のある企業は、地方の有能な学生を採用するために、地方都市でワンデーインターンシップを開催する予定だという。また別の企業では、ある地方大学に限定して、その大学の近くで開催する。
では、学生はどうすればいいのか。あまり幅広く多くの企業にアプローチすることは難しくなるので、ある程度ターゲットを絞り込む必要がある。自分の軸をハッキリさせて地元と主要都市との就職の比率を考える。それによって、予算の割り振りを算出する。主要都市にどのくらい泊まり込み、地元のインターンにいつ参加するか。
その際、地方の方が就活が遅く始まる傾向があるので、都市部に合わせた時期に準備を始めて出遅れないようにすることだ。早く情報をキャッチして申し込みし、できる限り効率よくスケジューリングしていこう。
(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/