ある大学の就職部の責任者B部長と、「インターンシップは良い面ばかりではないですね」という話になった。ここまで2回にわたってインターンシップのメリットについて書いてきたが、今回はデメリットをあげてみる。
B部長の指摘は「就活はインターンシップで始まり、インターンシップで終わってしまう」というものだ。学生はインターンシップに参加した企業に取り込まれがちで、他社や業界を検討しなくなると嘆いていた。
インターンシップに参加すると、それで終わりではなく、懇親会などに月に一度は呼ばれる。インターンの学生同士で交流サイト(SNS)のグループを作ることも少なくない。まるでインターン先の企業が敷いたレールに乗って、内定まで走らされて行くようになるというのだ。そこで内定をもらうと、「ここまでやってきたから」と満足して、本番の就活は数社受けてお茶を濁し、早々に就活を終えてしまうのだそうだ。
インターンシップの本来の目的は、仕事研究であり、業界研究である。そのインターンシップが、逆に視野を狭くしてしまうのであれば残念である。多くの企業のインターンに参加するのは、日程的に無理があるのも確かなのだが。
では学生は何社くらいインターンに参加しているのか。就職情報会社「ディスコ」の調査(11月時点)によれば、今年の学生は「5日以上」のインターンを実施する企業で平均1.4社参加している。「2~4日間」が1.9社、ワンデーが4社となっている。合計すると7.3社である。
もしも、このインターンに参加した7.3社の中で就職を決めるとしたらどうだろうか。インターンシップが主流になる前の就活は30社くらい面接に行くのが相場だった。多ければいいというものでもないが、インターンシップで企業のレールに乗せられて、かえって視野が狭くなることがないように、幅広く業界を検討してほしい。
リクルートキャリア「就職みらい研究所」の「就職白書2018」によれば、18年卒の学生がインターン先に就職した割合は22.3%である。これだけ見るとそう多くない気もするが、インターン先の同業他社に就職する人が29.1%いる。合計すると51.4%、すなわち半分以上がインターン先、もしくはその同業他社に入社している。
ワンデーも含め、インターンシップの有効性は大いにあるが、それだけで満足しては業界研究が不足する感は否めない。逆に間口が狭すぎて、いわゆるミスマッチ就職にならないように注意してほしい。
(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/