知っておきたい就活情報

【就活のリアル転載】留学生の就職 企業ニーズとかみ合わず 海老原嗣生(2019/1/8付 日本経済新聞 夕刊)(2019/01/15)


 前回に続き、外国人留学生と就活の関連について考える。日本に来ている26万7000人の学生は、どのような内訳になっているのか、示してみよう。

 日本語学校・専門学校・短大で14万2000人となり、半数以上を占める。対して、大学は7万7000人。仮に4学年に均等に在籍したとすると1学年あたり2万人弱で、これは全国60万人にもなる大学の学年総定員の3%程度でしかない。

 これに大学院の博士課程・修士課程も合わせると、毎年大学院・学部の卒業生数は2万4000人程度で推移している。このうち就職が決まって就労ビザに変更できた人が9000人弱。これは大学新卒就職者の約2%だ。

 つまり、日本人学生の就職先が留学生に脅かされる、という話は現実とはいえない。逆に、文部科学省の調査では、「留学生向けの求人が少ない」という声が多く、就活では不利だといわれ続けている。日本再興戦略の会議などでも議題となったほどだ。

 ただ、彼らが就職に弱い理由は、求人の少なさや日本の就職慣行の問題だけではない。

 私が編集長を務める雑誌で6年前に留学生がどのような大学・大学院に通っているか、偏差値ランク別に集計したことがある。その結果は、旧帝大・早慶・一橋・東工大などSランク校に通う学生は、全体の15%程度だった。つまり、大企業がほしがる大学の卒業生はそれほど多くない。

 しかも、そうしたSランク校の留学生はその8割が大学院に在籍する。そして、その院生の7割が文系であり、理系でも水産や農学などが多数を占める。日本人でさえ、文系の院卒はなかなか就職ができない時勢で、「平安文化」や「日本の政治史」を学んだ外国人院生を受け入れる企業は多くはないと容易に想像できるだろう。

 残りの学生の在籍校を、日本学生支援機構が発表する留学生数の多い大学から類推すると、かなりの人数が、日本人にとっては知名度が低く偏差値も芳しくない大学に通っているのがわかる。

 そうした無名なのにたくさんの留学生が在籍する大学の中には、国立大学よりも授業料の安い学校が多く見られる。

 前回までに書いたとおり、日本は留学生に広くアルバイトの門戸を開いている。そこで、就労目的で留学をする留学生が集まり、彼らは、まず、日本語学校で2年間学ぶ。そして大学に入り4年、中にはさらに大学院まで進んで8年日本にとどまるケースがある。その受け皿に「安くて無名な」大学がなっているのだ。これでは留学生の就職率はなかなか向上しないだろう。

(雇用ジャーナリスト)


     

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