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【就活のリアル転載】留学生の生かし方 経験積ませ海外展開で活躍 海老原嗣生(2019/1/22付 日本経済新聞 夕刊)(2019/01/29)


 大学や大学院に在籍する留学生と就職の概況を前回コラムで示した。旧帝大や早慶などの上位校の在籍者は少なく、しかも、彼らの多くが文系かつ大学院生となる。その他の学生のかなりの数が、知名度が低く学費の安い大学に通っており、留学生の就職率が向上しない理由の一端はそこにあるという内容だった。ただ、だからこそ、うまく彼らを採用し、一大戦力に育成している企業もある。そうした話を今回は書いておきたい。

 まず、超上位大学の文系院卒の留学生は、思考力や基礎学力が非常に高い。ただ、専攻や年齢面で不利となり就職ができないのだ。だが、そうした人材を毎年受け入れている大手アパレルメーカーがある。もともと大手といってもアパレル系はそれほど人気が高くなく、近年の就活売り手市場の中では採用に苦戦している企業が多い。そうした中でこの会社は、いち早く、潜在能力が高いにもかかわらず就職で苦戦する留学生に目をつけた。

 明らかに同時採用した日本人新卒者よりもポテンシャルで上回る彼らに、店舗スタッフを短期で終えさせ、経営系の職務で英才教育を施している。そして、中国や東南アジアでの事業展開の旗振り役にしているのだ。

 一方、就労目的で、無名だけれど学費の安い大学に在籍していた学生にも、良き就活ルートができている。彼らはアルバイトで長い間、サービス流通業にて就業経験を積むことが多い。店舗販売員としては即戦力といえるのだ。だから、家電やドラッグストア、コンビニ、ディスカウントストア、回転すし、ファミレスなどの大手が好んで採用する。外国人観光客が多いために、採用の必然性も高く、就労ビザが下りやすいのだ。

 こうした企業では、さらに「脱日本型新卒一括採用」が芽生えつつある。決まった時期に大量に学生からの応募を受け、面接だけで合否を決めるという、ある面賭けともいえる採用法を脱しつつある。それが、留学生アルバイター採用だ。

 文字通り、自社で長らく働いてくれた留学生アルバイターを採用する。これなら人物や勤怠状況も良くわかるから、適合もばっちりだし、その上、新人教育も大幅に省略できる。まさに、欧米型の長期で過酷なインターンシップを通して採用する手法といえそうだ。

 こうして採用した彼らは、先ほどのアパレル企業と同様、海外展開時の良き先兵ともなる。

 ちなみに、日本に10年以上住み、そのうち5年以上の期間で就労していることが、外国人への永住権付与の要件になる。そのため、採用した留学生に海外勤務を命じるのは、この基準を満たした後がよいだろう。

(雇用ジャーナリスト)


     

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