知っておきたい就活情報

【就活のリアル転載】自己PR、動画でエントリー 写真・文書より伝わる実像 上田晶美(2019/3/12付日本経済新聞 夕刊)(2019/03/19)


 いよいよ就活採用情報が解禁され、次々に各社のエントリーがスタートしている。今年みられる新しい傾向は、動画によるエントリーである。これは私が知る限りでは3年前から出始めたものだが、今年は一段と多くなっている。

 方法としては、単に自分で自己PRを1分の動画で撮って送るというのではなく、専用の動画システムにログインして、そこで作成して送信するというものだ。何度も撮り直しができ、練習して納得したものを完成させてから送ることができる。

 ある日用品メーカーの今年のエントリーでは5つの質問に動画で答えさせている。自己紹介2分、キャッチフレーズ2分、そのキャッチフレーズの理由を3分以内にまとめる。好きな商品の魅力が伝わるようにPRするものは2分以内。最後に言い残したこと、追加で言いたいことを2分以内。この動画作成の相談に来た女子学生は完成させるのに3日かかったという。

 文書にするエントリーシートは字数が多くて、1枚入力するのに2時間くらいが平均所要時間といわれている。だが、動画というのも、言い間違ったり、かんだりして、何度も何度も撮り直したくなるものだ。彼女のように、完成にはかなり時間を要するようで、応募者の学生の手間はかえってかかるかもしれない。

 エントリーを動画にする目的は何なのか。コミュニケーション力は圧倒的によくわかるだろう。写真や文書と違い、その人の実像に近いものが伝わる。ただ、見る人事の方も時間がかかるのではないのだろうか。文章ならば斜め読みも可能だが、動画を見るとなると、そうもいかない。

 そこである会社の人事担当者に聞いてみたところ、「文章を読むよりも動画を見る方が労力がかからなくて手軽です」というのだ。答えた人は30歳代だった。確かに最近はYouTubeなどの動画を日常的に見慣れている人が増えている。文章を読み込むよりも、動画を見て判断する方が楽というのだろうか。まさしく時代の流れであり、採用する人事側も若いということだ。

 ただ、エントリー動画の欠点は一次審査にしか使えないという点だ。文書であれば、提出されたものを見ながら面接で質問していくのが定石だが、動画では面接時の資料にまでは使えないのが惜しい。

 2015年のアメリカ映画「マイ・インターン」で初老の主人公が孫に動画を撮ってもらって応募するシーンがあったのを思い出す。2020就活はアメリカから5年遅れで動画エントリーが増えてきたようだ。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

前のページに戻る