知っておきたい就活情報

【就活のリアル転載】子の就活、保護者の役割は 自己肯定感 育む工夫を 上田晶美(2019/4/23付 日本経済新聞 夕刊)(2019/04/30)


 大学の低学年の保護者向けに就職状況について講演する機会をよくもらう。就活の専門家というだけでなく、参加する保護者の方々と同じくらいの年代だから共感を得やすいということもあるだろう。みなさん「自分の時代とは違うので」と言われる。謙虚で素晴らしい。その通りだと思う。私が伝えたいのは主に次の3つのことだ。

 1つ目は子供の自己肯定感を育んでほしいということ。いざ就活スタートとなった時、まずはじめに自己分析をするが、長所よりも短所ばかりをあげる学生が多く、見ていて心が痛む。痛むだけならともかく、実際に困る。仕事は自分の長所を生かしてするものだからだ。「短所を克服するために仕事をする」ということはない。

 例えば計算が苦手だから、あえて計算が基本である金融機関に入るというのは無理というもの。長所をあげられなくては、一歩が踏み出せないということだ。自分の長所を言えるように親御さんからも長所を言葉にして伝えてあげてほしい。

 また、同時に子供の大学を褒めることも忘れずに。ダメな大学と言っていては自己肯定感が低くなる。なにしろ就活の際は、大学名と自分の名前を続けてセットで名乗る。ダメ大学と思っていては、自信をもって名乗ることができない。偏差値がどうこうではなく、その大学の良いところを見つけて話題にしてはどうだろうか。

 例えば、就活支援のメニューが充実しているでもいいし、学生を大事にする大学だというのでもいい。とにかく、褒めるところを見つけて、親子で話し合ってみてほしい。

 2つ目はアルバイトに気をつけるということ。保護者に子供のアルバイトを知っているかどうかを聞いたら、先日講演したある女子大学では8割が知っていると挙手した。アルバイトにまで口出しするのはどうかと思う向きもあろうが、就活の時の履歴書やエントリーシートには、経験してきたアルバイトを書く欄があるものが多い。そのアルバイトは履歴書に書ける種類のものかどうか、親子で考えてはどうか。

 3つ目は就活に対し親が直接手出しせずに、遠隔操作すべしということ。以前このコラムで「親が代わりに履歴書を書いたりしないこと」と説いた。直接手を出すのではなく、間接的にキャリアセンターに相談に行くように勧めるのもいいし、子供が関心を持つ業界に知り合いがいれば紹介するのもいい。コネというものではなく、子供が参考になる話を聞く機会になるだろう。中にはこのコラムを切り取って子供に渡してくださる親御さんもあり、感謝です。

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

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