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【就活のリアル転載】合同説明会「私服で」 上田晶美(2019/6/25付 日本経済新聞 夕刊)(2019/07/02)


 「疲れました!」。インターンシップの合同説明会から帰ってきた学生の第一声がメールで届いた。千葉の幕張会場まで行ってきたという。努力は裏切らないよ、と伝えた。だが、あまりにも疲れたというので、どんな服装で行ったか聞いてみた。履きなれないパンプスで行ったのでは?と思ったからだ。

 返事は「私服で、と書いてあったので、ブラウスに黒いパンツに低いヒールの黒い靴」で行ったそうだ。それでも片道1時間半、会場に3時間いて、お昼も食べられなかったというので疲れるのも無理はない。合同説明会は疲れるものだということが分かっただけでも本選考前の大きな収穫である。

 インターンシップは適職選びのために企業研究をするものだが、昨今は本選考前の「練習」という意味あいが強くなっている。合同説明会、エントリーシート提出、面接と、本選考とほぼ同じ行程があるからだ。第一ステップとして各社が一堂に会するインターンシップ合同説明会が6月から始まっている。

 参加要項には「私服で」と書いてあることが多い。それでも、冒頭の学生によると学生の半数はスーツだったという。ジーンズはまずいが、靴はスニーカー、かばんはリュックでもいいくらいではないか。目的は会社の説明を聞くことなのだから、しっかりとお昼を食べて会社の説明を聞いて歩くことが最優先のはずだ。

 仕事でパンプス着用を強制するのはパワハラだとする「#KuToo運動」が盛り上がっている。私も以前から言っているが、就活だからと無理にヒールの高いパンプスを履かなくてもいい。パンプスがマナーとして決まっているわけではない。合同説明会では高いヒールの靴で歩き回るのは疲れる。それに、面接の際も、会社に到着するまでに足が痛くなって、ベストなやり取りができなかったらもったいない。

 合同説明会でスーツを着ていないからといって落とす人事はない。むしろ私服でと書いてあれば、いつもの服装で行く方が正解だろう。何人かの人事担当に聞いてみたが、スーツで来たから、まじめだと評価が上がることはないし、下がりもしないそうだ。そう考えると忖度(そんたく)しているのはむしろ学生側である。失敗したくない気持ちはわかるが、説明会の段階で服装はまず関係ない。

 インターンシップの合同説明会の失敗は何だろうか。それは参加しないことだ。とにかくスタートラインに立とう。しっかりと各社の説明を聞いてくるために、動き回っても疲れない服装で。世界を広げるために、まずは参加しよう!

(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/


     

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