そろそろ内定を取った人も多いと思う。おめでとう。売り手市場で複数内定を取った学生が多い今年、次に頭を悩ませるのは内定辞退の方法だ。
内定は1社に絞って、残りは辞退しなくてはならない。10月1日の内定式まで引っ張らずに、早めに辞退してほしい。そうしないと、他の学生の邪魔をすることになるし、何より企業にとっては大迷惑である。1人内定者が減ると他の学生を再び採用しなくてはならないからだ。そのための時間と労力を考えると、早めに辞退しないと失礼である。
それはみんな重々わかっているけれども、やはり辞退の連絡は気が重いものである。「もしも謝りに来いと言われたらどうしたらいいんですか?」と、ことさらこわがっている人もいる。万が一そう言われても、行かなくていい。会社も学生も時間が無駄になるだけで、何のメリットもないからだ。
10年くらい前、内定を辞退するために謝りに行ったら「コップの水をかけられた」という話を聞いたことがあるが、今はありえない。都市伝説の一つにすぎない。
まとめると、内定辞退を伝える方法には、4つある。「訪問、電話、手紙、メール」だ。このうちの「訪問」はしなくてよい。他を組み合わせておわびしよう。まず「手紙」を書く。辞退について丁寧な謝罪の手紙を書いて、それが届いたころに「電話」をする。先に手紙が届いているので、電話での話が切りだしやすい。ぐっとかけやすくなるというものだ。そのあとで、お世話になった人事の担当者がいたら、「メール」をするのもありだ。
だからといって先にメールを送ってはいけない。アルバイトなども「メール1本で辞める」というのは非常識だとされ、大変心証が悪い。ここ一番の時はやはり手紙だ。しかも、はがきではなく封書である。
メールはまだまだ正式なツールとは見なされず、手紙の簡易版であるにすぎない。軽く受け止められてしまうので、誠心誠意謝るのであれば、やはり手紙、封書になる。いいかげんなことをすると、翌年には大学の後輩たちに迷惑をかけるので気を付けたい。
では、内定辞退の理由はなんと言おうか。特に理由は言わなくてもいいのだが、企業は割と聞いてくるようだ。それは「自分の会社のライバルはどこか」ということを知りたいがためである。その企業側の気持ちも理解できるので、そこは翌年の採用活動のためのアンケートと思って、ひかえめに伝えればよい。そのくらいの協力はしてもいいように思う。
(ハナマルキャリア総合研究所代表)http://hanamaru-souken.com/